一口にすしと言っても世代や地域によっても頭に浮かぶイメージはさまざまではないだろうか。筆者の場合は巻きずしやいなりずしが真っ先に脳裏に浮かぶ

▼今のように、スーパーのお総菜コーナーににぎりずしが並ぶようになる前、巻きずしはごちそうの代名詞だった。ホテルでの結婚披露宴がまだ一般的でないころ、親がお祝いの席から持ち帰る土産の折り箱の中で、巻きずしはひときわ輝いて見えた

▼きょうは、その巻きずしが年に1度脚光を浴びる日だ。「節分の日に、縁起のいい方角を向き巻きずしにかぶりつく」という恵方巻き

▼藤井青銅氏の著書「『日本の伝統』の正体」によると、大阪のすし店やのり業者の組合などが約80年前から消費喚起のため宣伝し始めた。全国に広まったのは1998年に大手コンビニが大展開し始めてから

▼数年前から大量廃棄が社会問題になっている。ことしはついに農林水産省も対応に乗り出した。「貴重な食料資源を有効利用してほしい」と需要に見合う販売をするよう、コンビニやスーパーの業界団体に要請する事態に

▼消費者庁によると、生産されたのに食べられず捨てられる「食品ロス」の国内総量は600万トン以上。国連世界食糧計画の食糧援助の1・7倍に上る。節分の節は、節度の節でもある。消費者として何ができるか、考える日にしたい。(玉城淳)