おきなわワールド(沖縄県南城市)内の紙すき工房で、看板犬として長年活躍してきた琉球犬(りゅうきゅういぬの)「海(かい)君」が2日、引退した。この日、16歳の誕生日を迎えた海君は人間の年齢でおよそ90歳のご長寿。職員がセレモニーを開き、ケーキやプレゼントを贈り、生後3カ月で紙すき工房にやってきて、長きにわたって看板犬を勤め上げた海君の労をねぎらった。

上江洲睦さんに見守られながら、犬用のバースデーケーキを食べる海君=2日、南城市のおきなわワールド

 海君はこの日、「ハッピバースデー」と書かれた帽子をちょこんとかぶり、主役らしいたたずまい。セレモニーが始まってもしばらくはマイペースに寝ていたが、犬用のバースデーケーキを出されると、ホール1個をぺろりと平らげた。

 16年、海君の世話をしてきた紙すき工房「紙芳」の上江洲睦さん(47)は「家族より長い時間一緒にいた。仕事をしていても頭のどこかに海の存在があった。まだ実感がなくて…」。

 海君はおとなしい性格だが、縄張り意識が強く、出入りの業者にするどくほえた。しかし園を訪れる観光客にほえることはなく、体を触らせ、ファンレターがくるなど人気を集めた。

 かつては犬小屋や工房の石垣に飛び乗る元気者だったが、最近は足腰が弱り、寝て過ごすことが多くなっていた。海君はこれから工房敷地内の静かな場所で隠居生活を送る。

 園内で演舞を披露するエイサー団「真南風(まふぇかじ)」の仲村美虹(みこ)さん(24)は「散歩する姿をよく見ていた。寂しいけれど、今まで頑張った分、ゆっくり休んでほしい。本当にお疲れさまでした」とねぎらった。

 5日には、メスの琉球犬「空ちゃん」が2代目看板犬に就任する予定だ。

 沖縄在来の琉球犬は、県指定天然記念物に認定されている。