【糸満】長女の心愛(みあ)さんに対する夫の暴行を黙認したとして4日、傷害容疑で逮捕された妻。「支配的で連絡も携帯を確認し、メールを削除する」。2017年、糸満市は一家が転居した千葉県野田市への連絡文に、夫による精神的なDVを伝えていた。DV被害者支援の現場からは「父の暴力が母を追い詰めた」「糸満市で早く対応できていれば、事態の深刻化を防げたかもしれない」との声が上がった。

 糸満市によると、妻は同年6月、低体重の次女(1)を出産した。退院後「夫の暴力を受け、怖い。娘もどう喝され、暴力を受けるのではと不安」と聞いた親族が7月、市に相談した。

 妻は産後の体調が優れず再入院。市は病院で本人から被害の訴えを聞いたが「精神的に不安定」と信憑性を疑い、加えて入院中だったことからDV対応の緊急性が低いとした。その後、心愛さんらは千葉県野田市に転居した。

 県母子寡婦福祉連合会の与那嶺清子会長は、DV被害者の相談を受けてきた経験から「暴力に対する恐怖感で母親自身も精神的に追い詰められ、子どもを守る思考が働かなくなっていたのだと思う」と見る。

 DVや児童虐待の被害者を支援する県子ども総合研究所の堀川愛所長は「入院中でDVに遭う危険性が低いといっても、退院後は分からない。母子にDVや虐待の有無を丁寧に聴いておけば、支配的な父の下では言い出せない訴えを聞けたかもしれない。母子共に救えた可能性がある」と指摘した。