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闇市、昆布3束で創業 「何で商売人の子に生まれたかね」 人情と食文化を次世代へ

2019年6月12日 11:25

[公設市場物語]山城こんぶ屋

 沖縄の旧正月に欠かせないイリチー料理。那覇市の第一牧志公設市場にある「山城こんぶ屋」は創業から約70年にわたって昆布やスンシー(竹の子の加工品)、かんぴょう、干し大根などイリチーや煮付けの材料を量り売りする、市場唯一の昆布専門店だ。

(写図説明)「相対売りを楽しみながら、こんぶ屋を続けていきたい」と話す粟国智光さん(左)と和子さん=1月29日、那覇市・第一牧志公設市場

(写図説明)第一牧志公設市場マップ

(写図説明)「相対売りを楽しみながら、こんぶ屋を続けていきたい」と話す粟国智光さん(左)と和子さん=1月29日、那覇市・第一牧志公設市場
(写図説明)第一牧志公設市場マップ

 店頭には、塩抜きした板状や煮付け用に割かれたもの、イリチー用など調理別に加工されたスンシーのほか、湯がかれた昆布や干し大根も売っている。

 3代目店主を務める粟国智光さん(44)は19歳から、2代目の祖母・故友利アイ子さんの下で働き、30歳ごろに継いだ。現在は母の和子さん(70)らと切り盛りする。

 店は智光さんの曽祖母が戦後、闇市で創業。知り合いから分けてもらった昆布3束を売るところからスタートしたという。

 子どもの頃から手伝ってきたという和子さん。小学生の頃は週に数回、午前2〜3時ごろに起こされて、大根や昆布を湯がくために国頭村から届いたまきを運んだ。高校生になると、アイ子さんが家で夕飯を作る間は店に立った。「何で商売人の子どもに生まれたかね」と考えたことも多かったという和子さんだが、それでも「お客さんとの相対売りは楽しいし、あの経験があるから今がある」と目を細める。

 イリチー用の切りスンシーの販売は、料理にあまり時間をかけられない女性のために、和子さんが20年ほど前に始めた。先代のアイ子さんには「お客さんをフユー(怠け)させてどうする」と言われたが、今では人気商品の一つだ。

 店が最もにぎわう正月はスンシーだけで約600キロ売れ、店番中もひたすらスンシーを割く作業が続く。和子さんは「大変だけど、食べてもらえることがうれしい。できる限り手間を掛けたい」と笑顔を見せた。

 最近では昆布をうまく結べないため「結び昆布を売ってくれないか」という声もあるといい、智光さんは「どこまで加工するかは時代によって変わる。多くの人に食べてもらうために、いろいろな工夫をしていきたい」と考える。「こんぶ屋は市場には欠かせない店の一つ。沖縄の食文化、相対売りの良さ、市場らしいお店を次の世代に残していきたい」と力を込めた。

ありがとう牧志公設市場 ウェブ写真館
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