潮の香りを感じながら海へ延びる海中道路を走る。浜比嘉島を右手に見ながら抜け、平安座島と宮城島を越えていくと伊計島に着く

▼2年前、廃校になった伊計小中学校跡で2回目の「暮らしにアートin伊計島」が30日まで開かれている。うるま市内外の工芸作家の楽しく味わいのある生活雑貨の展示販売や島の農産品、食べ物の販売もある

▼各会場には黒板など教室の名残があり、「3・4年」と複式学級だったことを示す看板も。かつての校庭は駐車場になり来場者を迎えている。多くの人が訪れることで島の活性化につながることが期待される

▼しかし学校なき後、過疎化の進行が心配だ。単発のイベントではなく継続的かつ計画的な対策を望む声も根強い。島に雇用の場ができても学校がなければ子育て世代が定着しない、人口減少が続くと「島おこし」のアイデアがあっても実行する体力がなくなる、という声も聞かれる

▼各地で学校の統廃合が進んでいる。学校ごとに環境や課題はさまざまだが、子どもは社会の宝。教育の質や地域の存続、子どもの育ちと周囲との関わりを考え、持続できる人育ての形を考える必要があるのではないか

▼沖縄県は島々の集まりだ。小さな地域を大事にしなければ、いつか県全体がしっぺ返しに遭う-そう思えてならない。(安里真己)