創業者は「平敷屋のエジソン」と尊敬された。手先が器用でコツコツと仕事を極めるタイプ。まだ普及してない時代に冷蔵庫を自分で作るほど。若いころに兵庫県で初めて食べた感動を原点に新たな食文化を「発明」した。今日の沖縄ソウルフードいなりずしである

▼うるま市勝連平敷屋に本店がある丸一食品。今は亡き吉里清一さんと妻マサ子さん夫婦が1952年に創業したときはアイスケーキ屋だった。いなり販売なのに「けーきやー」と呼ばれるゆえんだ

▼氷販売や食堂などを経ていなり販売を始めたのは40年前。数年の試行錯誤を経て、あっさりと食べやすい味にたどりついた

▼県外のいなりと違って甘味は強くなく酸味が特徴で、ガーリックチキンとの相性は抜群。出身地が近い玉城デニー知事がラジオDJをしていたころ「けーきやーのおばあのすしはおいしいよ~」と紹介したのも全県に広まるきっかけになった

▼14年前にできた塩屋店と合わせ平日は千個、土日は2千個、清明祭のときは5千個ほど売れ、運動会の前にも長蛇の列ができる

▼あさっては全日本いなり寿司協会が定める「初午(はつうま)いなりの日」。甘いのも悪くはないが、変わらぬおいしさが2代目の長男清重さんに受け継がれる沖縄風いなりが好きだ。3個、4個と止まらなくなるのが悩ましい。(溝井洋輔)