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【ここで暮らす@辺野古】高倉健さん主演の映画にも登場した行事 誇り持ち継ぐ若者「基地問題だけじゃない」

2019年2月12日 10:12

 夜になると、スナックやバーに人が集い、語らう沖縄県名護市辺野古の社交街。地元の古波蔵勢(ちから)さん(33)は、辺野古を拠点に、酒を飲んだ人の帰りの足として欠かせない代行運転の仕事をしている。その古波蔵さんの別の顔がエイサーの地謡だ。

エイサーの地謡を務める古波蔵勢さん(右)=昨年8月19日、名護市辺野古

大切にしてきた伝統

 昨年8月、3年に1度開催される辺野古大綱引きの会場。辺野古青年会によるエイサーが披露され、太鼓をたたき踊る若者たち。ステージでは、古波蔵さんが先輩と一緒に地謡を務めた。「地謡が止まったら、全てが止まる」。プレッシャーのかかる役回りだ。

 エイサーは辺野古の人たちが大切にしてきた伝統芸能の一つ。辺野古誌によると、大正時代に中断したが、1962年に中部出身者らの指導を受けて再び創作され、64、65年と2年連続で第1回、2回の全沖縄大会を制し、「県下に辺野古エイサーの名を馳(は)せた」という。66年公開の東映の映画「網走番外地 南国の対決」でも、辺野古青年会のエイサーが登場し、主演の高倉健さんや田中邦衛さんらとともに画面に映るシーンがある。

 20年以上前、辺野古が普天間飛行場の移設先として浮上し、今では全国的に知られるようになった。地域の外から見ると「辺野古=基地問題」で、行事には関心はないだろうと思う。でも、古波蔵さんは「基地問題だけじゃないのを見てほしい。基地問題が出る前から、行事ごとは辺野古にはある」。

 古波蔵さんにとって辺野古は、住民同士のつながりが強い地域だ。多くの人が一体となる行事の時は、住民の間で、基地問題が話題に上ることはない。基地問題に反対する市民ら地域の外から人が出入りする様子は以前とは変わったとも感じる。

父から継承 地元引っ張る

 古波蔵さんの父も長年、地謡の中心的な存在だった。三線1本で、カチャーシーを盛り上げる様子を見てきて、子どもの頃から憧れた。

 高校卒業後、滋賀県で5年ほど仕事をした時も、父の三線を借りていった。寂しい時、三線をつまびくと沖縄の音が慰めてくれた。

 帰郷後、1年ほどして、父の後ろで三線を弾くようになった。前で演奏する父の姿を見て学ぶのが基本だ。

 父が「引退宣言」をしたのは2、3年ほど前。「いつまでもいたら甘える」と言われた。地謡の担い手は2人で古波蔵さんの下の世代はいない。地域の行事に参加できる人も減ってきて、エイサー自体が将来的になくなる不安もある。「先輩たちが頑張ってきた伝統を崩したくない」。仕事の傍ら、寸暇を惜しんで三線を触っていた父のように、古波蔵さんも、仕事の合間を縫って腕を鍛える。

 希望はある。小学3年の息子もエイサーの太鼓を練習している。地域の行事を引っ張る青年になってほしい。そして、いつか父や自分と同じように地謡をやってくれれば、と願っている。(社会部・岡田将平)

 ◇    ◇

 「ここで暮らす@辺野古」は随時掲載。新基地建設が進む辺野古の人たちの暮らしを見つめる。

 

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