【平安名純代・米国特約記者】米軍が少なくとも2028年度ごろまで普天間飛行場の使用(運用)を継続する見通しを立てていることが12日までに分かった。米軍幹部から報告を受けた複数の米連邦議員が本紙の取材に対して明らかにした。さらに、辺野古の新基地建設について、軟弱地盤の改良工事に「最短で5年が必要」との説明を日本側から聞いているとしていることから、29年度以降も普天間飛行場が継続使用される可能性がある。
米上院軍事委員会のメンバーを務める上院議員(民主)は本紙に対し、20米会計年度の予算審議へ向けた議会公聴会に先立ち、米軍幹部から在沖米海兵隊の移転計画の進捗(しんちょく)状況について7日までに報告を受けたことを明らかにした。
そのうえで同議員は、「25年ごろにグアム移転を開始し、28年ごろに完了するまで普天間の使用を継続するとの説明を受けた」と指摘した。
一方、辺野古の新基地建設計画については、「軟弱地盤が見つかり、改良工事に最短で5年を必要とするため、代替施設の完成はさらに遅れるとの報告を日本側から受けたと聞いた」と述べた。新たな工期などの詳細は、後日、日本側からの最新情報を受けとった後に報告されることになったという。
同委員会の共和党議員は、「代替施設建設とグアム移転計画の工期や費用の詳細の不明確さは議会で問題視されてきた」と指摘したうえで、「地盤改良工事が計画全体に与える影響をしっかり精査したい」と述べた。
13年の日米合意では辺野古の工事を5年と想定していた。普天間飛行場の返還時期は「返還条件が満たされ、返還のための必要な手続きの完了後、22年度またはその後に返還可能」となっている。
13年当時、「在沖米軍施設・区域に関する統合計画」の立案に携わった元米国防総省高官は、本紙に対し「22年度以降という当時の数字は、最短期間を算出したもの」と指摘し、地盤改良などで遅れは大幅なものになりうるとの見解を示した。
安倍晋三首相は1月31日の衆院代表質問で、地盤改良のために県に埋め立て承認の設計変更を申請すると表明。年内にも変更申請を提出するとみられるが、玉城デニー知事が不許可にした場合は、再び法廷闘争に発展する可能性もある。