うそは人を傷つけるが、うそをついた本人はもっと傷つく。うそを抱えることが辛い。罪悪感に耐えられず、浮気を白状してしまう人間もいる。しょうもない。

「嘘はフィクサーのはじまり」

 でも、世の中にはみんなを幸せにするうそつきがいる。明石家さんまさんだ。さんまさんのうそはそよ風のように心地よく吹いてきて、人々を笑顔にして去っていく。うそでも本当でもどっちでもいい。記憶にも残らない。楽しかったことだけが残る。

 この映画の主人公ノーマンのうそもその類いだ。他人同士を仲介し、双方に利益をもたらすフィクサーの仕事は利益第一主義の厳しい社会。でもノーマンはなんだか能天気なフィクサー。天性のうそつきが、小鳥のようにうそをさえずり、人々の幸せを喜び、去っていく。リチャード・ギアの好演がノーマンの魅力を最大限に引き出している。(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇桜坂劇場で16日から上映予定