2018年の本のベストセラーランキング(日本出版販売調べ)の1位は、吉野源三郎(よしのげんざぶろう)さんの小説を羽賀翔一(はがしょういち)さんが漫画にした『君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)でした。1月の「中学生ボイス」では、友だちにも読んでほしい「おすすめ本」を募集しました。539人が1人3冊まで計1343冊の本を選んでくれました。本に対する熱い思いが伝わる推薦文と一緒に紹介します。

1位は子育て奮闘漫画

 1位は31人が選んだ松本ぷりっつさんの『うちの3姉妹』」(主婦の友社)でした。この本は6歳、3歳、1歳の3姉妹の日常を漫画家の母がエッセー漫画でつづった子育て奮闘記。「3人とも個性豊かで、お母さんとのボケとツッコミが面白い」(那覇市3年女子)といった声がありました。

 1位と僅差の29人で2位にランクインしたのは『5分後に意外な結末』シリーズ(学研教育出版)。その名の通り、短時間で読める1話完結型の話を集めたもので、どの話にもラストに「意外な結末」が待っているという大人気シリーズです。那覇市の1年女子は「どれも意外なことばかりで夢中になる本」と絶賛しました。

 

 3位(26人)はいしかわえみさんの漫画とそれを桑野和明(くわのかずあき)さんが小説にしたホラー『絶叫学級』(集英社)。毎回違った物語の主人公が登場するオムニバス形式で、男女ともに人気でした。

 4位(25人)には尾田栄一郎(おだえいいちろう)さんの漫画『ワンピース』(集英社)。5位(24人)は『黒い本』や『怖い本』などがある本の怪談シリーズ(ポプラ社)、同位で住野(すみの)よるさんの青春小説『君の膵臓(すいぞう)をたべたい』(双葉社)がランクインしました。

短編や1話完結型 人気

 友だちにも読んでほしい「おすすめ本」のべ1343冊を集計すると、いくつか特徴(とくちょう)がありました。

 人気だったのは、上位にランクインした『5分後に意外な結末』や『絶叫学級』のような、短編のシリーズです。『5分後に意外な結末』を選んだ1年男子(那覇市)は「短い話ですぐ読めて、たくさんの話が入っていて楽しい」と理由を挙げます。

 短編と並んで好まれているのは、1話完結型の本。「話が続けて書かれていないので、飽(あ)きないし、ずーっと楽しめる本」(『うちの3姉妹』那覇市3年女子)、「1話完結型の短編で読み進めやすく、長編が苦手な人にもおすすめ」(『キノの旅』八重瀬町3年男子)、「物語が何個もあって飽きないところがいい」(『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』那覇市2年女子)などの声が寄せられました。

 

 世代を超えて読まれる漫画もあります。特に友情や冒険といったテーマを扱った『スラムダンク』や『ワンピース』への支持は厚いです。

 『スラムダンク』について1年男子(宮古島市)は「いろいろな名言があり、自分の気持ちを変えることができる」と推薦。『ワンピース』を選んだ3年男子(沖縄市)は「主人公のルフィが仲間と一緒に敵に立ち向かい、いろんな人に助けられて成長していく姿はとても見応えがあります。子どもから大人までぜひ読んでほしい、僕の大好きな一作」と絶賛しました。

「親子の絆」に泣いた 命の大切さを知った 想像するのが楽しい

 ◆『きみの友だち』 登場人物の考えに共感したり、考えさせられたりする場面があります。本当の友だちについて大切なことを知ることができると思います。(八重瀬町3年女子)

 ◆『雨の降る日は学校に行かない』 小学生の時、学校に行きたくないと思った日の次の日に読んで、心が揺り動かされました。私を変えてくれたこの本に、私は今、感謝しています。(那覇市1年女子)

 ◆『大切な約束』 親子の絆を描いた本で、10回くらい読みましたが、毎回泣きました。(宜野湾市1年女子)

 ◆『やせっぽちの死刑執行人』 命や人権よりも大切なものはないということがわかる本です。(八重瀬町2年男子)

 

 ◆『10代の哲学さんぽ』 買いたいくらいとても好きな本です。すてきで、心に残るし、名言がたくさんあり、えも深いです。(八重瀬町2年女子)

 ◆『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 僕が初めて読んだ本で、この本をきっかけに本が好きになった。それくらい面白い。(那覇市3年男子)

 ◆『傘をもたない蟻たちは』 方向性が予想できないから、どんどんページを進めてしまう。この本に出合って、私は想像するのが楽しくなった。(那覇市2年女子)

 ◆『星の王子さま』 読むたびに新しい発見をしたり、謎が解けたりするので、買って何度も読むのがいいです。(宜野湾市1年女子)

[大人アドバイス]出版社「ボーダーインク」編集者 新城和博さん

知らない世界が広がる 読書で「好き」を見つけて

 みんなが同じ本を読むのではなく、ものすごい数の本が挙がっていますね。読書の面白さはそこにあると思います。上位の本もいいですが、1人だけが挙げている1冊にも味わいがあります。

出版社「ボーダーインク」編集者 新城和博さん

友だち同士で教え合う

 大人も子どもも関係なく、本を語る時は、共有できる世界があります。本を読むのは個人的な体験ですが、隣で同じように本を読んでいる友だちがいます。私は中学生のころから友だちと本の貸し借りをよくしていました。友だちに話を聞いてみると、自分の知らない世界がガーッと広がります。それも読書の面白さだと思います。
 「読んだ方がいい」と言われた本を読まない気持ちはよくわかるので、中学時代に読んでおいた方がいい本というアドバイスはできません。ただ、友だち同士、何を読んでいるか教え合うと、自分なりのベストな本と出合えるんじゃないかなと思います。
 趣味が合わないということはあります。すすめられても、「自分は読みきれないな」という場合は、別に読まなくてもいいと思います。あくまでも趣味なので、人に無理強いしない、自分も無理をしない。人が面白いと言っても自分が面白いとは限らないのが本の醍醐味です。

背伸びしたジャンルに

 私は中学生のころ、よく本屋に入り浸っていました。子どもコーナーから文庫のコーナーに行って、成長するにつれて「次はこの本を読もう」と本棚を見ながら思っていました。
 本の背表紙を見るだけでも読書体験だと思うので、まず図書館や本屋に行ってほしいです。中学生だったらちょっとだけ背伸びしたジャンルに行ってみるのもいいです。背伸びとは、「子ども向け」と設定されていない本棚に行くことです。子ども向けと設定するのは大人だから。児童書コーナーじゃない本棚に行くといいと思います。
 それから、若い時の方が乱読(いろんな本を手当たり次第に読むこと)できます。年を取ると、趣味が偏ってきたり視力が衰えたり、新しいことへの興味が低下したりするので、今のうちの乱読をおすすめします。その上で、好きな作家が見つかったら、この作家は何を読んでこうなったのか、ルーツにさかのぼって読んでいくのも発見があります。
 本は親が子どもに読んでほしいものを与えるのではなく、子どもが好きな本を選んで買うのが一番いいと思います。人生を変える1冊を見つけなくてはいけない、ということはまったくない。ただ、「自分はこういうのが好きなんだ」と発見した時、その後の楽しみがどっと増えますよ。