一つ屋根の下で暮らし、深い愛情で結ばれるカップルなのに、法の恩恵を受けられず、さまざまな不利益を被っている。家族の在り方が多様化する中、時代の変化を踏まえた司法判断を求めたい。

 同性婚が認められないことの違憲性を問う初の訴訟が、全国4地裁に一斉提訴された。

 原告は20~50代の同性カップル13組。同性同士が結婚できないのは、憲法が保障する婚姻の自由を侵害し、法の下の平等にも反するとして、国に損害賠償を求めている。

 「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」と規定する憲法24条の解釈が争点の一つだ。

 政府は、この条文は同性婚を想定していないとの見解を示しているが、婚姻できない明確な法的根拠は存在しない。

 もともと24条は、「家」に縛られず、個人の尊重と男女の平等を確保するために設けられたもので、同性婚を禁じているとはいえないと解釈されている。原告側はこの点に切り込んでいきたい考えだ。

 さらに問われるのは憲法14条の「法の下の平等」だ。

 同性カップルは法的に保護された関係ではないため、一方が亡くなった場合に相続人になれないほか、子どもを育てる共同親権を持てなかったり、税制上の配偶者控除を受けられなかったりする。

 「パートナーが病気で入院した時に、家族でないからと面会がかなわず、最期に立ち会えなかった」というような話を聞くと、やるせない思いでいっぱいになる。

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 同性間の結婚は2001年、オランダで認められたのを皮切りに、欧州を中心に25カ国で可能となっている。

 米連邦最高裁が合衆国憲法を根拠に同性同士にも結婚する権利があると判断したのは15年。同性婚に寛容な意見が広がる社会の変貌を追認した形だった。

 先進7カ国で同性婚を公認していない唯一の国が日本である。性的少数者(LGBT)への差別を禁止する法律もまだない。

 政府が同性カップルに結婚という法的地位を与えないことと、伝統的家族観を重視する議員が多い自民党内で繰り返されるLGBTへの差別的言動は無関係ではない。

 同党の杉田水脈衆院議員が月刊誌への寄稿で「彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がない」と暴論を吐き、強い批判を浴びたのはつい最近のことだ。       ■    ■

 しかし時代は確実に進んでいる。

 東京都渋谷区や那覇市など11自治体は、消極姿勢の政府に代わって同性カップルを公認するパートナーシップ制度を導入。同性パートナーを配偶者と認め、手当などを拡充する企業も増えつつある。

 電通が昨秋、ネットを通じ実施した調査では、同性婚の合法化に8割近い人が賛意を示していた。若い人たちを中心に理解は急速に広まっている。

 浮き彫りになるのは、政府や国会の対応の鈍さである。法整備を含めた議論を急ぐべきだ。