社説

社説[迫る県民投票]学びの機会を広げよう

2019年2月21日 08:08

 なぜ今、県民投票が必要なのか。県民投票の意義を考える上で参考になるのは、憲法記念日制定を巡る戦後沖縄の歴史である

 憲法が施行された翌年の1948年5月3日、憲法記念日が制定された。沖縄で憲法記念日が定められたのは、17年後の65年のことである。

 両者の違いは明白だ。

 本土では、憲法が施行されたことを記念して憲法記念日が設けられた。一方、沖縄では、米国統治下にあって憲法が適用されていないにもかかわらず、5月3日を憲法記念日と定めた。

 「憲法の沖縄への適用を期す」との願望を込めて。

 のちに琉大学長に就任する金城秀三・琉大法政学科助教授(故)はその日、本紙に一文を寄せている。

 「民主主義ということばを厳密な意味で用いるなら、沖縄の住民はいまだかつて自らを主権者とする民主主義政治を享受する機会を与えられたことはなかった」

 憲法制定の際も、サンフランシスコ平和条約締結の時も、沖縄住民はいずれについても「主権者たる国民の資格において主体的に参加することができなかった」。

 68年にようやく主席公選が実現し、72年の施政権返還によって沖縄にも憲法が適用されるようになった。

 だが、膨大な米軍基地が維持され、日米地位協定と関連取り決めが適用された結果、「自らを主権者とする民主主義政治」は復帰後も著しく制約を受けることになった。

 辺野古の新基地建設問題は、その象徴なのである。

    ■    ■

 金城さんは、憲法不在の沖縄で憲法記念日を制定したことの特別な意味について「沖縄住民はもとより、本土にいる日本国民にも理解され、共感されることを望む」と強調している。

 今、私たちが確認したいのは、沖縄で新基地建設を巡る県民投票が実施されることの特別な意味である。

 県民投票には法的拘束力がなく、どのような結果になっても事態は変わらない-という否定的な意見があるのは確かだ。

 安倍政権の強硬一点張りの路線が県民の中にあきらめの感情を生み出しているとも言える。

 しかし、だからこそ新基地建設を巡る県民投票に特別な意味があるのではないか。

 今回の県民投票は政治的な意味が大きく、結果次第では流れを大きく変える要素を秘めている。

 「意志あるところに道は開ける」だ。

    ■    ■

 稲嶺恵一元知事は「軍民共用」「15年使用期限」の高いハードルを設定して辺野古の代替施設建設を認めた。だが、条件は守られなかった。

 仲井真弘多元知事は埋め立て申請を認める前提として米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」を主張した。

 安倍晋三首相は「最大限に努力する」と約束したが、この条件も守られなかった。

 軟弱地盤の改良工事で埋め立て工事の長期化は避けられない。状況の変化を踏まえ普天間飛行場の運用停止や危険性除去の問題をどう判断するかも、県民投票の焦点だ。

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