女王をめぐる三角関係がイングランドを動かす。宮廷で繰り広げられる愛憎劇は超上流ゆえの粘度の高さと、童心を思わせる透明感も見せる不思議な味わい。どんな印象にせよ色恋が国の行方を左右するのだからたまらない。

「女王陛下のお気に入り」

 舞台はフランスと戦争中の18世紀初頭イングランド。心身不調のアン女王を幼なじみである女官長のサラが操り、戦局を見極めていた。ある日、召し使いとして雇われたアビゲイルは女王の痛風治療のために薬草を摘んできたことをきっかけに成り上がっていく。ついには友人以上の関係だった女王と女官長の間に割って入った。

 見方によっては「愛国」と「自己愛」の衝突。目的のため手段を選ばず、権力を行使する女性たちの共通点は「孤独」だろう。劇中、3人の目から光が去っていく。きっと、この争いに勝者はいない。(学芸部・松田興平)

シネマQで上映中。