大弦小弦

[大弦小弦]日本文学研究者のドナルド・キーンさん…

2019年2月26日 07:40

 日本文学研究者のドナルド・キーンさんが24日、96年の生涯を閉じた。「翻訳は文化の壁を越え、相互理解を深める」との信念で、日本研究に人生をささげた

▼18歳の時、英訳本「源氏物語」に魅了され、米海軍日本語学校に進んだ。初めて踏んだ憧れの日本の地は沖縄。1945年4月1日、米中尉として上陸し4カ月間、捕虜の尋問や日本軍の書類の翻訳、投降の呼び掛けに従事した

▼最前線で銃を撃つことはなかったが、むごたらしい光景と日本兵の夜襲や特攻に日々悩まされる。デマを信じて捕虜になることを恐れ、自ら命を絶つ住民の姿も目撃した

▼沖縄戦中、寝泊まりしたのは普天間の農学校にあったコンクリート製の豚小屋。校内に畜産の専門書が数多く残されており、いたく気に入った。上官に本の焼却を命じられたが、「焼くのは見るに堪えない」と内緒でハワイ大に送ったという

▼亡くなったのは県民投票の投開票日。普天間飛行場の危険性を最も知る県民は、それでも新基地反対の意思を示した。だが政府は「先送りは許されない」と連呼し強行する。許さないのは誰かの説明は一切ない

▼キーンさんがかつて駐留した地には今も巨大な基地が居座る。2012年6月20日付の朝日新聞で、沖縄の現状をこう憤った。「誰も説明しないまま、大きな基地が置かれている」(磯野直)

基地で働く―軍作業員の戦後
沖縄タイムス社
沖縄タイムス社
売り上げランキング: 352,603
前の記事へ 次の記事へ
沖縄関連、今話題です(外部サイト)
JavaScriptをOnにしてください
注目トピックス