「豊年でーびる 豊年でーびる シートゥリトゥテン シトゥリトゥテン」でおなじみの民謡「豊年音頭」に、実はもう一つの旋律が存在した。発掘のきっかけは、作曲した普久原恒勇(つねお)さん(86)がぽろりと漏らしたひと言。そこから話がとんとん拍子に進み、オペラ歌手のユニット「おから」がメロディーの誕生から44年目にして初めて披露することになった。(北部報道部・阿部岳

おからの4人(後列左から前川佳央さん、田里直樹さん、たさとしのぶさん、具志史郎さん)に豊年音頭のもう一つの旋律を提供した普久原恒勇さん(前列中央)と伊波みどりさん(同左)、智恵子さん(同右)=沖縄市の普久原さん宅

楽譜残ってなかったが、覚えていた

 豊年音頭は1975年の作品で、「芭蕉布」「島々清しゃ」などと並ぶ「普久原メロディー」の代表曲の一つ。アップテンポな曲調で、エイサーでも定番になっている。

 作詞家そけいときさんの詞が先にあった。普久原さんは今知られているメロディーと、全く別のしっとりしたメロディーの二つをつけ、「好きな方を使って」と「フォーシスターズ」に提供した。

 フォーシスターズは当時大人気の4姉妹。メンバーの伊波みどりさん(68)は「ステージで歌いやすいテンポのいい方を選んだ」と振り返る。ゆったりしたバージョンの方は封印されたままになっていた。

 声楽家による「ヴォイスアンサンブルユニットおから」が昨年、普久原メロディーを歌う2枚目のアルバム「きらず」を出すに当たって普久原さん宅を訪ねた際、もう一つのメロディーの存在を聞き、「ぜひやらせてください」と申し出た。

 楽譜も残っていなかったが、普久原さんが44年たった今も全て記憶していて、もう一度書き起こして渡した。おからのピアニスト、たさとしのぶさん(50)は「とても美しい旋律。同じ歌詞なのに全く違って聞こえる」。バスの前川佳央(よしお)さん(44)は「私たちにとって財産のような歌」と喜ぶ。

 メンバー4人は今月中旬、沖縄市の普久原さん宅を訪ね、微妙な音程や歌詞の乗せ方の指導を受けた。普久原さんは「やってくれるのはありがたいね。はーやー、と思った」と笑った。フォーシスターズの一人、伊波智恵子さん(66)もおからの歌声を聞き、「気持ちが洗われるよう」と太鼓判を押した。

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 豊年音頭の別バージョンも初披露する「祝10周年おからコンサート」は3月20日午後7時15分から、浦添市てだこホールで。一般2980円、高校生以下千円。問い合わせはラクダムジカ、電話070(5699)7688。