先週、タレントの堀ちえみさん(52)が、舌がんであることを告白し、「再び歌が歌えるようになりたい」とつづったブログが反響を呼んだ。

 競泳のエース、池江璃花子選手(18)が、白血病と診断されたとツイッターで公表したのは、つい先日のことだ。

 それぞれ衝撃をもって受け止められたが、ファンからの激励メッセージなど励ましの輪が広がっている。

 日本では、生涯のうち2人に1人ががんにかかる。近年、著名人のがん公表が相次ぎ、闘病ブログなどに関心が集まっているのは、それだけ身近な病気だからだろう。

 2016年にがんと診断された人は99万5千人で過去最多を更新した、と厚生労働省が発表した。

 がんと診断された全ての患者が対象の「全国がん登録」がスタートして以来、初めてとなる集計だ。

 部位別では男性は胃、前立腺、大腸の順で多く、女性は乳房、大腸、胃と続いた。

 高齢化など年齢構成の違いによる影響を取り除いた人口10万人当たりの「年齢調整罹患(りかん)率」は、沖縄が最少で356人、最多は長崎の455人。地域差が浮き彫りになった形だ。

 ただし沖縄も大腸、乳房などは全国平均を上回っている。

 食事や喫煙などの生活習慣、検診率などが複雑に絡み合っているのだろう。

 地域別の課題を把握する重要なデータであり、高低の原因を詳細に分析した上で、地域に合わせたきめ細かな対策と体制整備につなげてもらいたい。

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 豊富なデータを基に効果的な治療法を検討することができる全国がん登録は、「がん登録推進法」に基づき16年1月から始まった。

 登録されるのは患者の氏名や住所、がんが見つかった経緯、進行度や治療法など26項目にも及ぶ。

 それ以前の都道府県の集計による「地域がん登録」は義務ではなかったため、取り組みや情報の精度にばらつきがあり、実態把握が十分とはいえなかった。

 今回、法律ができて初めて発表された99万5千人という患者数は、「実態に近い」とされる。

 全国一律の登録制度では海外が先行し、日本は後れを取っていた。

 集まったデータからは欧米と比べ胃がんや肝臓がんが多いことも改めて示されており、今後の比較研究に期待が集まる。

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 情報は都道府県を通じて国立がん研究センターで管理される。秘密を漏らした場合、2年以下の懲役など罰則が科せられることになっているとはいえ、集まるデータは膨大で、かつ個人の病歴という極めてセンシティブなものである。

 今後、早期発見や予防などに向けた研究開発につなげようと、研究者へのデータ提供も始まる予定だ。

 患者から提供された貴重な情報であり、外部に流出したり、悪用されるようなことがないよう、厳格な管理を求めたい。