那覇市首里の末吉公園は都市化が進んだ県都でほぼ唯一まとまった森が残る。うっそうと茂った陰影の深い緑に時折、鳥や虫の声が響き、いにしえの風情を今に伝えている

▼だが、中をよく観察してみると外来の植物が多い。捨て猫も後を絶たず、沖縄古来の豊かな森とはいえないのが実情だ▼隣接する宿泊研修施設「森の家みんみん」の指定管理者、沖縄自然環境ファンクラブはそんな末吉の森を本来の姿に戻そうと活動している。かつて本島中南部で多く見られたどんぐりの木、アマミアラカシを植樹したり、多様な在来種の草が茂るビオトープを作るなど市民参加の取り組みを続ける

▼藤井晴彦代表は大型連休のたび、多くの人が自然体験を求めてマイカーで本島北部を目指す「一極集中」に近い現状を疑問視する。「中南部にも多くの自然が残っている。身近な自然に目を向け、子どもたちが森を歩き、生き物に触り、五感で感じる実体験を大事にしてほしい」

▼5月3~5日の3日間は4歳以上の親子を対象に自然遊びやゲーム、夜の生き物観察会などを予定する。運が良ければホタルやフクロウ、キノボリトカゲ、オオウナギに会えるかもしれない

▼希少な野生生物や雄大な景観だけを守るのでなく、地域にある当たり前の自然の大切さを再確認する。そんな連休にしたい。(田嶋正雄)