ごみ箱に入れた食材をまな板に戻す。おでんの具を口に入れて吐き出す。配膳用トレーでふざけるなどの様子を飲食店のアルバイト従業員が動画でネット上に配信する問題が相次いでいる

 ▼悪ふざけで済まされない行為は企業の信頼を揺るがす。定食店を運営する大戸屋ホールディングスは、研修のため国内全店舗を一斉休業する。他社でも謝罪や元従業員への法的措置の検討など対応を迫られている

 ▼不適切動画は以前にも社会問題化した。なぜなくならないのか。モラルを逸脱した行為は許されるものではなく、一定の厳罰化は必要だろう。ただ、アルバイトだけが働く現場のチェックやリスク管理はどうなっているだろうか

 ▼問題が起きた飲食店やコンビニ業界はアルバイト従業員が多くを占める職場。人手不足の中、雇う側の人材を見極める採用や服務ルール、品質・衛生管理の対策は十分だったかという検証も求められる

 ▼不適切動画の問題は、モラルや常識だけで解決できるものではない。深刻な人手不足と離職につながりやすい低賃金労働の現場のひずみともいえるかもしれない

 ▼企業の信用、信頼は売り上げに直結する。誰でも情報を拡散できるネット社会で、発信、接し方などを含めた人材育成や教育も簡単ではない。問題を繰り返さないための知恵をどう出せるかだ。(赤嶺由紀子)