世界中で大ヒットし、日本でも既に1千万人が映画館に足を運んだディズニーアニメ「アナと雪の女王」。映画を見ながらみんなで歌う「シングアロング版」が話題になるなど、人気は社会現象になっている

▼アンデルセンの童話に着想を得たミュージカルアニメ。触れるものすべてを凍らせてしまう力を持ったため孤独に生きる姉エルサと、姉を救おうと冒険の旅に出る妹アナが魅力的に描かれる

▼城を飛び出したエルサが雪の女王となって歌う「レット・イット・ゴー」のシーンが印象的だ。それまで抑え込んでいた心と力を解放し、氷の宮殿を築く姿は息をのむ

▼ヒットの要因は「主人公がチャーミング」「劇中歌がすばらしい」「英語字幕版、日本語吹き替え版ともに楽しめる」などいろいろある。中でもひかれたのは、自分の人生は自分で切り開いていくというプリンセスの生き方

▼ピンチに陥ると白馬に乗った王子様が登場し助けに来てくれるシンデレラ物語ばかりを読んで育った世代としては、何者にも媚(こ)びない頼らない現代的ヒロインが新鮮に映る

▼ありのままでという「自分らしさ」の肯定がテーマの作品だが、現状維持を言っているのではない。「立ち上がって前へ進め」という積極的な肯定である。映画館を出た人たちが、目を輝かせ「レリゴー」と口ずさんでいた。(森田美奈子)