たった、60年前の話。黒人は安全に泊まれる宿や、入れるレストランを記した“グリーンブック”なる冊子を持たなければ、アメリカ南部を移動するのも命がけだった、愚かしい時代の実話。

「グリーンブック」

 天才黒人ピアニストのシャーリーは、粗野なイタリア系用心棒トニーを雇い、あえて差別の色濃い南部へ演奏旅行に出かける。

 南部のセレブたちは彼の演奏には惜しみない拍手を送るが、決してトイレを貸そうとはしないし、同じ席で食事をしようとはしない。

 分離は差別ではないと公言してはばからない白人にはらわた煮えくり返るが、それでも素材の重さを見るものに押し付けず、だれでも持っている小さな差別の感情にも気づかせながら、おじさん2人のおかしなロードムービーに仕上げた監督の手腕は見事。(スターシアターズ・榮慶子)

シネマQ、ライカム、ミハマで上映中