子どものころ、遊び場に弟や妹を連れてくる友達が必ず2、3人いた。異年齢の集団で鬼ごっこやSケン(陣取りゲーム)をして遊ぶには「捕まっても鬼にならない」「片足ケンケンしなくてもいい」などの特別ルールが必要になる
▼なるべく強さが偏らないようチーム分けにも気を使った。それらは年少者への配慮でもあったけれど、何よりもまず自分たちが楽しく遊ぶための工夫だった。極端に力の差があるとおもしろくない。だから大人に言われなくても知恵を絞り、最良の遊び方を考えた
▼けんかや言い争いも起こる。そんな時は年長者が諭したり、慰めたり、仲間同士で仲裁したりして解決した
▼今になってみると学びの場だった。集団遊びの中で自然に身に付けた技能や対応力が社会生活に役立っている。時間を忘れて夢中で遊んだ体験が、仕事で必要な集中力に結びついていると実感する
▼県教育庁のまとめでは、沖縄は体育の授業以外は全く運動をしない子どもの割合が全国一高いという。一番身近な運動は遊ぶことであり、遊びの中で自然に体を動かすはずだが、その機会がなくなっているとすれば心配だ
▼子どもは群れて育つ、といわれる。他者とぶつかり合う体験もしてほしい。きょうはこどもの日。元気に走り回る姿を、かつての自分たちに重ねて見守りたい。(田嶋正雄)