東京電力福島第1原発事故からあすで8年になる。

 1~3号機で原子炉格納容器底部に燃料棒が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)を起こした未曽有の事故である。

 いまなお収束していない。廃炉、汚染水、汚染土、被災者への補償、風評被害など多くの難題が山積する。

 そんな中にあって、今年2月、2号機で溶融核燃料(デブリ)とみられる堆積物に初めて接触することができた。

 格納容器側面から遠隔操作でトングのような装置を挿入して調査した結果、一部のデブリが持ち上げられることを確認した。

 デブリは放射線量が高く、人が立ち入って作業することができない。廃炉作業には30~40年かかると想定している。中でもデブリの取り出しは最難関といわれ、それに向けた一歩である。

 デブリは1~3号機で計880トンと推計される。回収機器の開発も必要で、保管場所や最終処分をどうするのか。未解決の壁が立ちはだかる。

 廃炉作業が進み、原発が安定するかは福島県の復興に直結する。東電は今後予定されている調査で、得られるデータを分析し、着実に作業を進展させなければならない。

 汚染された地下水を浄化した処理水は敷地内に保管している。処理水には放射性物質トリチウムが含まれ、約100万トンに達している。東電は20年末までに137万トン分のタンクを確保する方針だが限界が近づく。処分を急がなければならない。

 海洋放出が有力視されるが風評被害を心配する漁業者の反発は当然でこれも難題だ。

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 福島県の避難者は復興庁などによると、今年2月時点で4万1953人。うち県外が3万2631人。避難生活での体調悪化や自殺による震災関連死も累計で2268人(自殺は103人)に上る。

 大震災で被災した岩手、宮城両県に比べ、突出している。原発事故による避難生活がいかに過酷かを物語る。

 古里に帰還する人は自治体で濃淡がある。早い段階で避難解除され、住民の居住率8割の自治体がある一方で、生活インフラが整わず1割に満たない自治体もある。

 原発周辺で17年に避難指示が一部解除された富岡町と浪江町、全域避難が続く双葉町。3町の40代以下の半数以上が帰還しない意向を示す。

 復興には働き盛りの世代が戻らなければならないが、時がたつにつれ、避難先で生活基盤を固めた人も多く、呼び戻すのは容易ではない。

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 安倍政権は原発輸出を成長戦略の一環として推進してきたが、海外での原発新設計画は総崩れだ。安全対策費が急上昇し、賠償などを含めると原発は安価な電源とはとてもいえなくなったからである。

 世界の潮流は太陽光、風力などといった再生可能エネルギーに大きくシフトしている。政府は原発を「ベースロード電源」とし、30年度の電源構成比で原発20~22%にこだわる。原発再稼働も相次いでいる。「安全神話」が崩壊した原発事故を直視しなければならない。エネルギー政策を転換すべき時である。