農作物を傷つける害虫をダニなどの天敵生物で駆除する「天敵農法」の導入が、広がっている。害虫駆除のための農薬散布を減らせるため、より安全な作物を作れるほか、農家の作業負担も軽減され、持続可能な農法として注目を集めている。減農薬作物として販売することで、販路拡大や農家の所得向上も期待できる。沖縄県の農業改良普及員、JAの指導員らも、農家と連携して普及に取り組み始めている。(政経部・川野百合子)

天敵を使って害虫を駆除する農法に取り組む宮城さん(前列左)ら、今帰仁村のマンゴー産地協議会のメンバーら=6日、今帰仁村

マンゴ-の葉の裏で害虫チャノキイロアザミウマ(右側)を捕食する天敵のスワルスキーカブリダニ(県農業研究センター提供)

天敵を使って害虫を駆除する農法に取り組む宮城さん(前列左)ら、今帰仁村のマンゴー産地協議会のメンバーら=6日、今帰仁村 マンゴ-の葉の裏で害虫チャノキイロアザミウマ(右側)を捕食する天敵のスワルスキーカブリダニ(県農業研究センター提供)

害虫を捕食するダニ

 沖縄県内では、できたばかりの果実の果汁を吸い、果物や野菜の実を傷つける害虫チャノキイロアザミウマへの対処が課題となっている。天敵農法では、この害虫を捕食するスワルスキーカブリダニなどを畑に放って駆除する。農薬の散布は一定回数必要だが、従来より回数を半分に減らせる。

 マンゴーやピーマンなど、天敵が外に逃げにくいハウス栽培の作物で導入が進む。2013年から県内で天敵農薬として販売が始まり、県などが15年ごろから本格的な導入を進めてきた。県によると、スワルスキーを使って防除するマンゴー農家は、15年に5戸だったが、18年は36戸に増えた。特に北部地区の農家が12戸と、県内で最も多い。

品質向上で収入も増

 今帰仁村では、マンゴー産地協議会に所属する農家約30人が、天敵農法の研究に励んでいる。先進地・高知県での視察や土着のクモや虫での防除方法、天敵の増殖や組み合わせ方なども研究している。

 協議会の副会長でマンゴー栽培歴30年になる宮城康吉さん(75)は「作る人も食べる人も安心安全なマンゴーを求める。傷ついて規格外となっていたマンゴーの品質が改善されることで手取りも約3倍上がる」という。宮城さんは「農作業が楽になり収入も増えれば、若い担い手の参入も期待できる。どんどん広めていきたい」と期待した。