観光振興のための新税について議論していた有識者らによる検討委員会が「宿泊税」導入の提言をまとめた。

 ホテルや旅館、民泊施設を対象に1人1泊当たりの宿泊料が2万円未満の場合は200円、2万円以上は500円を徴収する2段階制である。

 課税の公平性の観点から県民も対象とするが、修学旅行については旅行費用の増加による誘客に影響が出ることを懸念し免除する考えだ。

 導入が決まれば県の初めての法定外目的税である。

 観光客1千万人時代が視野に入り、新たな財源を確保して持続可能な観光地づくりと観光客の利便性や満足度を同時に高める狙いがある。

 検討委では2段階制について全会一致とならず、委員の間でも異論があるのが表面化したのを県は重く受け止めなければならない。

 賛成委員らは納税者の支払い能力に応じて課税する税の原則があることや宿泊税を導入している先行自治体がいずれも2段階制を採用していることを挙げた。

 これに対し、反対した委員らは宿泊事業者らで、一律200円とする案を支持した。宿泊料は部屋のタイプや季節によって変動する。県は一定の徴収報償金を支払うが、事務やシステム改修費を賄うことができるか不透明だ。

 先行する東京都は1万円未満は課税されない。1万円以上1万5千円未満は100円、1万5千円以上は200円である。4月から導入する金沢市は県と同じ内容だ。

 検討委の設定は、妥当なのだろうか。納税者の負担感はどうか。もっと緻密な検討が必要ではないだろうか。

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 徴収される側の観光客の理解が得られるか、課題だ。

 県の宿泊税導入に関する観光客アンケートでは、宿泊税の導入に「納得できる」「まあ納得できる」が計53・7%と半数を超えた一方で、「納得できない」「あまり納得できない」の計21・4%が否定的だ。

 県はまだ宿泊税が導入されていないこともあって、観光客にもメリットがあることをPRできていないからと分析する。今後外国人にも多言語で積極的に広報していく考えだ。

 徴税コストなどを差し引くと、税収は年間約51億8千万円と県は試算する。

 一例だが、観光客の利便性・満足度向上のために、無料Wi-Fiや観光案内所の充実、多言語に対応できる人材育成、県民生活に及ぼす影響への対応として渋滞解消策のために全国の交通系ICカードとの互換性の実現、那覇と本部を結ぶ高速船-などを想定しているようだ。

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 県は新年度から全市町村と宿泊事業者を対象に宿泊税の在り方で意見交換する。

 市町村の観光関連事業に対し、宿泊税導入後に創設する「基金」から補助金を拠出し、県と市町村で役割分担をする考えを説明する。

 検討委からの提言を受け、県は部長級でつくる「県法定外目的税制度協議会」で検討を重ねる。県民と観光客がうまく調和しながら持続可能な観光地づくりに向けた議論を深めなければならない。