最近、人気アイドルなど芸能人のカミングアウトと休養宣言が相次いでいるパニック障害について、皆さんはご存じでしょうか。

イラスト・いらすとや

 突然激しい不安に襲われ、胸がどきどきしたり、息が苦しくなったり、めまいがしたりする発作をパニック発作と言います。また突然の死の恐怖から救急車を呼ぶこともよくあります。「外出先で発作が起こったらどうしよう」と予想する不安(予期不安)により、人の集まる場所や狭いところに行けなくなる(回避行動)といった広場恐怖(閉所恐怖も含みます)を伴う場合もあります。治療せずに避けたり逃げたりを続けているとうつ病に発展することもあります。

 単に気のせいとか心が弱いとかではなく、不安を背景として脳内の神経伝達物質のバランスが乱れたことで、こころ的には認知(考え方)が一時的に歪(ゆが)み、からだ的には交感神経が一時的に暴走していると考えられます。

 治療は、以前は対症療法的に抗不安薬が用いられていましたが、今では抗うつ薬の中でも副作用の少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が主となり、予期不安、パニック発作だけではなく広場恐怖や抑うつ症状もよくなるようになりました。

 ある程度よくなったら、再発予防的に服薬継続する方法と、認知行動療法(行動を変えることで考え方や感情を変える)や暴露療法とも言われるエクスポージャー(徐々に慣れさせる)などのカウンセリングを併用して服薬をやめる方法があります。服薬をやめる場合、SSRIは依存や耐性がある薬ではないのですが、急にやめると一時的な離脱症状(めまいやしびれなど)が出ることがあるので自己判断で中止せず、医師の指示に従い焦らずゆっくり減らしましょう。

 パニック発作を過度に恐れないことが大切です。治療を受ければ制限を受けていた行動範囲が自由に広がります。エクスポージャーも含めた認知行動療法はいわばチャレンジです。チャレンジする勇気が「自分らしさ」を取り戻し、よりポジティブな感情を生み出します。

 お心当たりのある方はお近くの精神科や心療内科にお気軽にご相談ください。勇気を応援します。(古内重雄 ゆめクリニック)