“手だれの技”という日本語が素直に浮かぶ、クリント・イーストウッドならではの作品。老いてなお、質の高い作品を発表し続けるのは至難の業だろうが、イーストウッドは過去の「ハドソン川の奇跡」「15時17分、パリ行き」に続き実話を選んだ。

映画「運び屋」

 若いころから仕事一筋、放蕩(ほうとう)の限りを尽くしたアールは90歳にして仕事も財産も全て亡くした。家族を当てにしても、結婚式にも来なかった父親に向ける妻と娘の視線は厳しい。そんなアールに“運転するだけで金がもらえる仕事”が舞い込む。それは麻薬の運び屋だった。

 90歳がカムフラージュとなって、するすると仕事をこなすその様に、監督の言葉にはできない手だれの技が仕込まれる。“事実は小説よりも奇なり”とはよく言ったものだ。(スターシアターズ・榮慶子)

シネマQ、シネマライカム、ミハマ7プレックスで上映中