沖縄市のミュージックタウン音市場の観客席に集まった約300人は国籍、年齢がさまざまで、子どもの姿も目立った。演者のちょっとした表情やしぐさ、歩き方に神経を集中させる。緊張が途切れると、どっと笑いがわき起こった

▼言葉を使わない「ノンバーバル」のパフォーマンスショーは会場の一体感が魅力だ。琉舞やダンス、昔遊びなどが多彩に織り交ぜられ、喜びや笑いが共有される

▼開館10周年を記念して昨年始まった。海外からの観光客に沖縄の演劇界がどんなコンテンツを提供できるか-。こんな課題を克服するための新たな挑戦であり、沖縄の文化が随所に紹介される

▼数え97歳のお祝い「カジマヤー」でおじい、おばあの若いころの記憶に導かれる物語。亀甲墓での清明祭(シーミー)やカチャーシーの場面は外国人の興味を引いたことだろう

▼想定せぬ大きな感動も生まれている。聴覚障がいのある人が、一緒のタイミングで笑いを分かち合える喜びを味わっているのだ。出演する島袋寛之さん(39)は「台詞劇では味わえない壁を越えられた」と言う

▼先週、舞台が終わると補聴器をつけた子どもや大人20人ほどが出演者の元に駆け寄った。言葉はない。だがお互いの感動は表情から十分すぎるほど伝わった。まさにノンバーバル。心の交流に言葉は必要ではない。(溝井洋輔)