沖縄観光を楽しむムスリムモニターツアーの皆さん

  年々増加する沖縄を訪れる外国人観光客。国際観光都市を目指す沖縄では、受け入れ体制整備の一環として、食の多様性(フードダイバーシティ)への対応が求められています。

 2017年に東南アジアからの直行便が就航したことで、ムスリム(イスラム教徒)人口の多い地域であるマレーシアやシンガポールからの訪沖者数が今後も伸びると考えられる上、2018年に90万人近くの訪沖者数があった台湾は人口の約13%がベジタリアンといわれていることなどが理由です。

 さらには2019年にはラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されるなど、欧米諸国を含め海外から多くのお客様がやって来ます。

 沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(以下、OCVB)が旗振り役となって、フードダイバーシティに対応出来るよう、受け入れ体制作りを着々と進めています。その取り組みの最前線を取材しました。(企画・制作 沖縄タイムス社営業局)

<特集コンテンツ>
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 最近、よく耳にするキーワード「ハラール」とは何でしょうか。簡単に言うと、ムスリムにとって「許されたもの」を意味します。食品でいうなら野菜、果物、イスラム法に則った方法で屠畜(とちく)された牛、ヒツジ、鶏などの肉です。対して豚肉やアルコールなどは戒律上、禁じられています。日本人に馴染みのない「宗教の戒律による食の禁忌」ということもあって、ムスリムの対応は難しいものだというイメージが先行しているようです。本当にムスリムの受け入れ対応とは難しいものなのでしょうか。

 OCVBの担当者によると、数年前までは「ムスリム受け入れ=ハラール認証取得」というイメージがありましたが、最近では、ムスリム受け入れに関する知識を身に付け、自社で出来る対応について情報を開示するという方法で、顧客獲得に成功する事例が増えているそうです。

 沖縄県・OCVBは、ムスリムの受け入れ体制の周知を図ろうと、2014年度から「ムスリム等受入環境整備事業」をスタート。受け入れ対応セミナー、おもてなしハンドブックの発行、レシピコンテストなどの各事業を通して、ムスリム受け入れ対応推進の啓発に取り組んでいます。
 
 また、フードダイバーシティの観点でいえば、ムスリムのみならずベジタリアン、ヴィーガン(完全菜食主義者)の受け入れ対応も重要です。宗教だけでなく“主義”においての食の禁忌も存在するからです。特に沖縄を多く訪れる台湾人観光客は、先述の通り、ネギをはじめとする香りの強い野菜(五葷、ごくん)を食べないベジタリアンが、全体の約13%いるともいわれています。

 次項から、県内で実際にムスリムや、ベジタリアン等、ダイバーシティに対応している事例を紹介します。