■食のバリアフリーを弁当で 糸満市が2種類開発

 観光業として教育民泊にも力を入れている糸満市。民泊受け入れ時の料理提供において個別の対応が難しいケースもあり、生徒の食物アレルギー対策に悩まされていたそうです。糸満市まちづくり協議会が中心となって「みんなが一緒に同じ料理を食べられる食のバリアフリー」を目標に、アレルギー成分が低い弁当、スイーツなどの開発に着手しました。その中で、今最も注目を集めているのが、2種類の弁当です。食のバリアフリーに対応したものと、ハラールに対応したものです。開発を主導した同協議会の西智子さんと、実際に製造した伊禮卓夫(たかお)さんに話を聞きました。

食のバリアフリーとハラールに対応した2種類の弁当を開発した西智子さん(右)と伊禮卓夫さん

 「食のバリアフリー」を地産地消の弁当で実現したいと考えていた西さんは2018年7月、那覇市内でカフェを営んでいる糸満市出身の伊禮さんに話を持ち込みました。

 話に共感した伊禮さんは早速取り組んだものの、当初は失敗の連続だったといいます。沖縄の食文化の代表格である豚肉はもちろん、アルコールが入っているみりんなど通常よく使う調味料が使えません。「いつも使う素材に制限がかかることに最初はとまどいました」と振り返ります。しかし、西さんやコンサルタントらの意見を聞き、試行錯誤を続けました。

 メニューは「外国人観光客が喜び、冷めてもおいしいもの」という視点から一つは「野菜ずし弁当」を設定。赤いパプリカをマグロに、エリンギを貝に見せるなど見た目にもこだわりました。もう一つはムスリムを意識した「野菜太巻き弁当」です。チキン照り焼きには、ハラール認証の鶏肉を使用。アレルギーを持つ層に対応できるよう、ソラマメしょう油を使い、ヴィーガン(完全菜食主義者)を意識してかつおだしの代わりに野菜コンソメやこんぶを使うなど工夫しました。

野菜ずし弁当
野菜太巻き弁当

 コンサルタントからの助言で沖縄色を出すために、パパイヤイリチーや「第4の穀物」と言われるソルガム粉と米粉でつくったサーターアンダギーも添えました。

 約4カ月かけて献立が最終確定。伊禮さんは「アレルギーを持っていない子が食べてもおいしいと感じる品質を実現できました」と手応えを感じたそうです。西さんは「いろんな制限があったにも関わらず、試食したところ味は合格。これはいけると確信が持てました」と振り返りました。

 同年12月に「道の駅いとまん」で開いた試食会では、修学旅行生にも提供。アレルギーを持つ学生から「とてもおいしかった」という反応を得たそうです。

 

 西さんは「行政と民間のコラボが成功につながりました。弁当を糸満市の特産品、ブランドとして売り出し、糸満観光の底上げにつなげたい」と意気込みます。伊禮さんは「せっかく沖縄に来た方々の中で食事に困っているという人を1人でも減らしたい。生産力を高めて、ホテルなどからの大型需要にも対応できるようになりたい」と計画を描いていました。

 2019年3月22日には糸満市内で弁当のお披露目会を開き、PRする予定だそうです。お披露目会に関する問い合わせは糸満市観光まちづくり協議会、電話090(1365)9362、担当:西。