那覇空港 連載「人モノつなぐターミナル」(下)

 那覇空港「際内連結ターミナル」の魅力は利用客の利便性向上、空港機能強化だけではない。那覇空港ビルディングは、これまでになかった特色豊かな36店の商業施設の出店で利用客増を図る。一方で、年間2千万人以上(1日当たり約5万5千人)が利用する同空港に、出店企業の関係者は「毎日5万人以上が往来するテナントビルは魅力的だ」と口をそろえる。中には、沖縄初進出の県外企業や、新ブランドを出店する県内企業もあり同空港の「地の利」を生かして、多くの空港利用客を取り込むだけでなく、日々のマーケティングを通して県内や海外展開を視野に入れる。

沖縄初進出のラーメン店や県内企業の新ブランドのアイスクリーム店などが並ぶ那覇空港際内連結ターミナル=18日、那覇空港

アジア進出の可能性も

 これまでの那覇空港の商業施設にはちんすこうや、泡盛、沖縄そばなど沖縄に特化した商品が多かった。しかし、外国客の増加に伴い、抹茶を使ったお菓子や、ラーメンなど国内土産や食事へのニーズが高まっていた。新ターミナルはそのニーズを取り込むべく「日本らしさ」を取り入れた商品や食事などが多く並ぶ。

 生八つ橋の「おたべ」で有名な京都の老舗菓子メーカーの「美十(びじゅう)」は県内に製菓工場の建設を計画するなど本腰を入れて沖縄進出に乗り出した。酒井宏彰社長は「沖縄で事業を展開することで、外国客の取り込みにつなげるだけでなくアジア進出の可能性も広がる」と意気込む。

 東京を中心に国内外で約40店舗を展開する「東京豚骨拉麺ばんから」を手掛ける花研(東京都)の草野直樹代表は「県民も、国内外の観光客も訪れる空港という立地を生かして沖縄市場のマーケティングをしたい。軌道に乗れば県内でも5店舗ほど展開できればと考えている」と意欲的だ。

 県内企業も新ブランドを展開するなど、新ターミナルビルへの出店に商機を見いだそうとしている。

 おきなわワールドなどを運営する南都(那覇市)は初めての飲食店に挑戦。アレルギーや宗教などの理由で食材の制限がある人にも対応した丼専門店「丼なんと屋」をオープンした。大城宗直社長は「外国客が増加する中で、南都がこれまで培ってきたノウハウがどこまで通用するか挑戦したい。成功すれば沖縄だけでなく日本の食文化や観光の裾野が広がる」と可能性を語る。

 ナンポー(那覇市)が出店する「スノーラグーンアイスクリーム」は同社にとって初のアイスクリーム販売事業だ。安里睦子社長は「県外企業との差別化を図り、沖縄ならではの食材の良さを発信するこれまでと違ったアプローチを展開したい」と初挑戦に意欲的だ。

 那覇空港ビルディングの兼島規社長は「県内企業が県外企業と競い合うことで新商品の開発や新たなビジネスチャンスをつかむきっかけにしてほしい」と期待を寄せた。(政経部・仲本大地)

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