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「分断は必ず起こる」緩和するにはどうすれば… 必要なのは視野の広さと度量の深さ

2019年4月1日 05:00

◆幻想のメディア SNSの民主主義(20)第2部 配信の仕組み

名古屋大学大学院講師の笹原和俊さん(提供)

 「ソーシャルメディアは、多様な人々と情報をつなぐことで機会創出や価値創造を促すプラットフォーム(基盤)の役割を期待されていたが、実際は見たいものだけを見、つながりたい人とだけつながっている傾向がある。会員制交流サイト(SNS)を介してそれが過度に助長されている問題が顕在化している」

 そう指摘するのは、計算社会科学が専門で、フェイクニュースの発生や拡散のメカニズムを研究する名古屋大学大学院情報学研究科講師の笹原和俊さん。その極端な例がエコーチェンバー(共鳴室)だという。

 SNS内で何度も同じニュースに触れるうち、同じ意見だけが共鳴し合って拡散し、反対意見が排除されていく現象だ。

 笹原さんは、米国ツイッターのデータを分析した研究で、保守系の人は保守系の人とばかりと、リベラル系の人はリベラル系の人ばかりとコミュニケーションを取り、両者が分断されると説明。似た意見には影響を受け、似ていない意見とのコミュニケーションを切断することを繰り返すやりとりをコンピューターでシミュレーションすると、「どんなに多様な意見があっても、時間経過とともに必ず分断が起きることが再現できる」と解説した。

 笹原さんは、エコーチェンバーによる分断を緩和するためには個人の心掛けとシステムによる介入が必要と説く。「個人的には自分と違う意見をいったんは聞いてみる。納得はできないが、そういう意見もあるのかと理解することで視野の広さや度量の深さにつながる」とする。

 また、スマートフォン向けニュースアプリ「スマートニュース」の米国版での、リベラル派の利用者には保守的な、保守派の利用者にはリベラル的な考えの記事を織り交ぜて配信する試みを紹介。「程よく反対意見を流すことでユーザーが多様な意見に触れる機会を与え、視野を広げてもらうことができるのではないか。こうしたシステムの構築が有効になると思う」と話した。

 沖縄の基地問題に関し、SNS上で建設的な議論がしにくい状況に関し、笹原さんは「互いの主張の根拠となる客観的データを受け止める姿勢が大事。互いにデータを共有した上で議論をしようとのマインドが必要だ」と話した。(「幻想のメディア」取材班)

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