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デマ発信者から「お前は好きじゃない」 異なる意見に拒絶反応 対立あおる“共鳴室”

2019年3月31日 07:00

◆幻想のメディア SNSの民主主義(19)第2部 配信の仕組み

男性が持っている複数のアカウント(画像を一部加工しています)

 「どうしたらフェイクニュースやデマを流す人と建設的な議論ができるか」

 本島中部に住む30代の男性は、2017年12月に発生した宜野湾市の緑ヶ丘保育園への米軍ヘリ部品落下事故や、普天間第二小学校への米軍ヘリ窓落下事故に関するSNS上のデマの投稿に、事実に基づいて反論した。しかし最終的には、デマの発信者に「お前は好きじゃない」と感情的に拒絶され、フォロー関係が強制的に解除される「ブロック」が相次いだ。

 男性は「事実かどうかは別問題で敵か味方かで判断されてしまう。まっとうなことを言えば伝わる、理解してもらえるとの考えには限界があると感じた」と話す。

 今年2月24日にあった名護市辺野古の米軍新基地建設に必要な埋め立ての賛否を問う県民投票に向けては、「憲法が保障する直接民主制の住民投票の権利を奪うな」などの主張を繰り返しSNSに書き込んだ。しかしここでも、県民投票の実施に反対する一部からは、県民投票の実施を求めて活動する若者たちへの誹謗(ひぼう)中傷が繰り返されるだけで、議論がかみ合わないと感じた。

 同じような意見の人とはフォローしあって心地よくなり、異なる意見は受け入れず、それぞれのフォロワーを巻き込んで対立があおられる。SNS内で自分の興味関心と一致した情報のみが流通し、反対の意見が排除されていく現象を「エコーチェンバー」(共鳴室)と呼ぶ。

 数理モデルやビッグデータの分析からフェイクニュースの発生や拡散の流れを研究する名古屋大学大学院情報学研究科講師の笹原和俊さん(計算社会科学)は「似たもの同士でくっつきたくなるのは人間の生まれながらの特性だが、『いいね』や『リツイート』など他者の評価が見えやすいSNS上ではより顕著に現れる」と説明する。

 「エコーチェンバーが出来上がると、異なる考えのグループに分断される」とし、閉鎖的な環境はフェイクニュースの温床にもなると警鐘を鳴らす。

 SNSで異なる意見のユーザーから拒絶された経験を持つ男性は、どうしたらSNSで建設的な議論ができるか、複数のアカウントを作成して、いったんは拒絶された異なる意見のユーザーにアプローチを試みているという。「みんなが建設的な土台ができればと思う。そういう環境をつくるにはどういう方策が有効か、いろいろ試してみたい」と話した。(「幻想のメディア」取材班)

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