好景気を背景に小売業の新規出店、拡大が相次ぐ一方で、業界では人手不足への懸念が強まっている。沖縄県浦添市で夏に開業予定のサンエーとパルコが運営する県内最大級の商業施設では、3千人の雇用が見込まれ、人手不足の県内で、求人数がさらに膨らむ。250店舗が入居する新施設の求人には1300~1500円の破格の時給もあり、他企業からは人材流出を不安視する声も聞かれる。人手を確保に各社とも職場環境や待遇の改善に本腰を入れている。(政経部・屋冝菜々子・照屋剛志)

「パルコシティ」の完成イメージ図(提供)

「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」の合同求人説明・選考会で担当者から条件などの説明を受ける求職者ら=2月28日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター会議棟

「パルコシティ」の完成イメージ図(提供) 「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」の合同求人説明・選考会で担当者から条件などの説明を受ける求職者ら=2月28日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター会議棟

「従業員が目移りしないか…」

 県内大手スーパーの担当者は「業界を問わず人が足りない中、サンエーパルコ開業の影響は、浦添市内だけにとどまらない」と強調。新施設はパルコ沖縄初進出に加え、県内初出店のテナントも多数あり、話題性や真新しさが「働く人からすれば魅力的な求人」。高時給も重なり「育ててきた従業員が目移りしないか不安はある」という。

 別のスーパー担当者も、「従業員が足りない既存店舗で辞められると、店が回らなくなる」と危機感を募らせる。

 小売業界の人手不足は、県内景気が回復に転じた5年ほど前から始まっており、「最近は時給を上げただけでは集まらない」(小売業者)。各社とも求職者が希望する曜日や時間帯に合わせたシフト対応や機械化による作業量軽減など、職場環境の改善に取り組む。セルフレジ導入によって省人化も進めてきた。

 沖縄ファミリーマートは、飲食店の割引などが受けられるスタッフ限定の福利厚生サービスを始める。

 一方、サンエーパルコは、入居店舗の合同説明会を昨年12月から開業までに計6回開く予定で、入居店舗へ計画的な採用を促すほか、一定期間を置くことで周辺への影響を最小限にとどめる考えだ。

 県内初出店で、下着やルームウエアの人気ブランド「PEACHJOHN(ピーチ・ジョン)」を運営するワコールは、「ブランドの知名度が高く、十分な応募があった」(担当者)と、すでに開業に必要な20人程度を確保した。

 一方、県内初出店の飲食店は、オープン時1250円の好条件を提示するものの、必要な数は集まっていない。採用担当者は、「給与面の魅力で60人を確保する」と強気だが、時給千円以上の求人は他にも並んでいるのも事実。あの手この手を繰り出しての人材確保競争は今後、さらに熱を帯びそうだ。