2018年6月23日の「慰霊の日」に浦添市立港川中学3年の相良倫子さん(15)が朗読した詩「生きる」に曲を付けた歌を、長崎の被爆者でつくる合唱団「被爆者歌う会『ひまわり』」が練習している。5月に千葉県で開かれるコンサートで地元の合唱団と披露する。地域と年代を超え、平和への願いが共鳴している。(社会部・岡田将平)

「生きる」を歌う「被爆者歌う会『ひまわり』」の会員ら=19日、長崎市

20分以上続く大作 相良さん「思い伝わったのかな」

 ♪私は、生きている マントルの熱を伝える大地を踏みしめ

 今月19日、長崎市のJR長崎駅そばのビルで20人ほどの女性たちの歌声が響いた。70~90代の被爆者でつくる「ひまわり」の会員らだ。沖縄の美しい情景、それが奪われた戦の記憶。相良さんが沖縄全戦没者追悼式で紡いだ言葉を、メロディーに乗せていく。

 「ひまわり」は、原爆投下日である毎年8月9日、長崎市の平和祈念式典で、被爆者を再び生み出さないよう願いを込めた歌を合唱している。主宰者で音楽家の寺井一通さん(70)=長崎市=が相良さんの詩を聞き、「どの世代にも同じ立場で受け入れられ、平和を願う思いが一つになれる」と作曲した。20分以上続く大作だ。

 会長の田崎禎子さん(78)は、昨年6月、相良さんの詩の朗読をテレビで見て、一つ一つのフレーズが心にしみた。4歳で被爆し、父はフィリピンで戦死。おじは沖縄の壕で自決したと、戦後になって母から聞いた。そのおじの妻子は長崎の原爆で亡くなった。2013年には「ひまわり」の一員として沖縄を訪問した。

 〈私は今を、生きていく〉。過去と未来を見つめ、そう締めくくった相良さんの詩。田崎さんは、相良さんたち若い人たちには、平和な「今」を生きていってほしいと心から願う。「もう戦争は絶対嫌。二度と私たちのような思いはさせたくない」

 相良さんは、寺井さんから届いたCDで曲を聴いた。優しく穏やかな旋律の中に、平和を希求する思いがしっかり込められていると感じた。「平和とは命を精いっぱい輝かせて生きること」など、自分自身の詩の主題が歌でも大切にされていた。「思いが伝わったのかな」とうれしかった。

 相良さんは中学2年の時に修学旅行で長崎の原爆資料館を訪れ、被爆の実相に触れた。沖縄、長崎、それぞれの人が体験したことは違っても、「平和を望む形は変わらない」と感じる。

 4月からは高校に進学する。「微力だけど、私たちの世代が、戦争はしてはいけないということを次に伝えていくことはできる」。沖縄戦のことをさらに知るため、戦争体験者の話を聞いていくつもりだ。