「2時間でホームシックになりました」。表情にあどけなさが残る18歳の男性は、恥ずかしさを隠すように冗談を装った。6畳一間の部屋で初めての夜を迎えた3日前。寂しさで涙が止まらなかったという

▼沖縄市にある児童養護施設・美さと児童園から引っ越した。数日前に車の免許を取り、4月1日には就職先の入社式、そして研修と続く。目まぐるしい生活の変化にプレッシャーがのしかかる

▼家庭の事情で児童園に入ったのは3年前。猛勉強し、あきらめかけていた高校に受かると将来を見据え1年生から資格を取った。転機は2年生の企業説明会。社員の仲が良いとの話にひかれ県内有数の総合建設会社への就職という目標が芽生えた。児童園では多くの仲間や職員と出会い、支えられた

▼卒園後1年間の家賃補助など支援策はあるものの18歳での早い自立に不安は尽きない。実際に3年生になると重圧に苦しんだ。秋にストレスから体調を崩し、職員や後輩を遠ざけたこともあった

▼その経験を糧に「あせらずにマイペースで頑張ろう」と心に決めて社会へと旅立つ。立派な技術者になることが夢だ

▼自らが誓うようにあせらずに目の前の一つ一つをこなすしかない。笑顔を絶やさない青年の心の中にある苦しみや不安を感じとり、手を差し伸べる人はきっと現れるだろう。(溝井洋輔)