社説

社説[県民意識調査]子の貧困対策 加速せよ

2019年4月3日 05:00

 県民の8割以上が沖縄に誇りを感じ、7割近くが米軍基地の集中を差別的ととらえている。望む施策のトップは、沖縄の未来をつくる子どもたちの貧困対策-。

 県企画部が2018年に実施した県民意識調査で照らし出されたのは、沖縄アイデンティティーにもつながる思いや感情だった。

 沖縄振興計画など県政運営に広く活用されるこの調査は3~5年ごとに行われ、今回で10回目。

 重点的に取り組むべき施策を複数回答で聞いたところ、「子どもの貧困対策の推進」が42・1%と突出して高く、前回、最多だった「米軍基地問題の解決促進」は26・2%で2位、「魅力ある観光・リゾート地の形成」26・1%と続いた。

 子どもの貧困対策は、新たに設けられた項目だ。

 小中学生を対象にした県の調査で子どもの貧困率が29・9%とはじき出され、全国の2倍近い深刻な状況が明らかになったのは16年1月。当時は衝撃を持って受け止められたが、「見えにくい」とされてきた子どもの貧困が可視化された意義は小さくなかった。

 小中学生調査に続き、17年には高校生調査、18年には未就学児調査の結果が公表され、対策の必要性が広く共有されていったのだ。

 相対的に基地問題や観光振興が順位を下げる結果となったのは、「お金がないから進学を諦める」など子どもの将来に関わる課題の重さと緊急性の高さを優先したからだろう。

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 在日米軍専用施設の約70%が沖縄に集中していることを差別的と感じている人は、「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」を合わせて66・2%だった。

 「差別」という言葉が沖縄の基地問題を語るキーワードとして頻繁に使われるようになったのは、普天間飛行場にオスプレイが強行配備された12年秋以降だ。

 前回15年、前々回12年の県民意識調査でも差別的との回答は7割前後に上った。

 普天間飛行場の辺野古移設を巡って顕在化してきたのは、沖縄だけに基地を押し付ける差別的処遇への怒りであり、日米安保の負担の適正化を求める声だった。

 県民の8割強が沖縄に誇りを感じていると答えていることからも分かるように、民意が踏みにじられているという悔しさと、自己決定権への思いは深く関係している。

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 作家の大城立裕さんは、間もなく幕を下ろす平成時代を「沖縄のアイデンティティーの自覚を促した半面、日本人として向き合う政治の難しい局面を露出させた」と総括している。

 「日本政府の壁を最高に意識した時代」だが、「この壁は昔のようには厚くはない」とも語る。

 玉城デニー知事には県民の声をすくい上げ、子どもの貧困対策で踏み込んだ施策を展開してほしい。

 政府も基地集中に対する住民意識の変化に真正面から向き合い、公的責任を果たすべきだ。

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