米国の諜報機関CIAがOSSという名前だった1944年、ユニークな作戦を考えた。敵側の組織に潜入し、仕事をサボって生産性を落とすミッションで、通称「サボタージュ・マニュアル」。一見ばかばかしいが、10年ほど前まで機密指定されていた極秘文書だ

▼中でも会議をダメな方向に導き、組織を弱体化させる戦術が面白い。たとえば「何事も、決められた手順を踏まねばならぬと主張せよ。迅速な決断のための簡略した手続きを認めるな」。しゃくし定規に規則を守らせる重要性を説いている

▼「議事録や、決定事項の細かい言い回しを巡って議論せよ」。本質的でない言葉尻をとらえ、非生産的な時間を費やせそうだ

▼「以前の会議で決められたことを再び持ち出し、妥当性を巡る議論を再開せよ」は蒸し返しのテクニック。「演説せよ。できるだけ頻繁に、長々と話せ」「大事な事柄は委員会にかけ、委員は大人数とせよ(5人以下にしてはならない)」

▼マニュアルを監訳した法政大の越智啓太教授は、著書で「『ウチの会社そのものだ』との反応がネット上で多かった」と書いている

▼企業や役所に会議はつきもの。マニュアルは、反面教師として参考になる。新年度が始まり、5月に元号も変わる。気持ちを新たに、CIAも驚く「ジョートー会議」を考えたい。(吉田央)