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亡き母と夫へ 68歳芸大生の油彩、沖縄の芸術展で賞

2019年4月3日 08:25

 県立芸術大学美術工芸学部の科目等履修生の宮城郁代さん(68)=那覇市=が、亡き母と夫への感謝の思いを込めて描いた油彩「レクイエム」が、開催中の第71回沖展のe-no株式会社賞・絵画部門を受賞した。(社会部・徐潮)

油彩「レクイエム」でe‐no株式会社賞・絵画部門を受賞した宮城郁代さん=3月日、浦添市民体育館

 郵便局に勤めていた宮城さん。2010年に牧志郵便局長を最後に定年退職した後、「自分へのご褒美」として、本格的に絵画を学び始めた。17年から沖展への応募を始め、今回、初めて入賞した。これからも「面白がって見てもらえる絵を描きたい」と意気込んでいる。

 絵を描き始めたきっかけは、小学3年の時に描いた1枚の似顔絵だった。モデルは同級生の男の子。「上手だね」と周囲に褒められ、絵が好きになった。社会人になった後は、仕事や子育てなどに追われ「絵手紙ぐらいしか描かなかった」。

 定年を機に、本格的に絵を描きたい気持ちがよみがえった。夫は「好きなようにやってみたら」と背中を押してくれた。退職の翌月から那覇造形美術学院に通い、翌11年春には女子美術大学(東京)に入学。卒業までの3年間、夫を沖縄に残し、東京で生活した。

 受賞作の制作に着手したのは16年の春。体調を崩し、入院していた母に絵を見せて元気づけようと考えた。残念ながら母親は絵の完成を待たず、5カ月後に亡くなった。母の死から半年後には68歳の夫にステージ4の肺がんが見つかり、夫も17年7月にこの世を去った。大切な人を相次いで失った悲しみと後悔で、なかなか絵筆が握れなかった。

 受賞作「レクイエム」には「夫と母への感謝の気持ちを形にして残したい」との思いを込めた。「永遠」や「生命」を意味するペイズリー柄や渦巻きの意匠を描き込み、中央のチェロ奏者の目を、慈悲の心と感じる「仏像の目」を意識して描いた。

 来年は「もっと時間をかけて、良い作品を描きたい」と宮城さん。母と夫への思いを胸に、次の制作への意欲を燃やしている。

沖展開催70周年を記念して、ウェブサイトを公開。これまでに開催された展覧会の図録を閲覧いただけるよう、デジタルアーカイブとして公開します。 >>「沖展オフィシャルサイト」

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