名護市内の飲食店で、魚以外にも「赤身」「白身」と呼ぶ食べ物があると知った。調理してくれた店長いわく「赤身より白身の方が、味があってうまい」。心して口に入れたが、食いしん坊のわが舌にはどちらも美味
▼県産島豚アグーを出す店でのこと。「白身」は脂身を指し、焼くと品のある甘みが味わい深い。出産頭数が少ないアグーは、戦争や戦後の西洋豚の流通などで激減したが、いまやその名は県内外にとどろいている
▼多くは西洋豚などと掛け合わせた「アグー・ブランド」豚としての流通で、純血種そのものは、現在も600頭ほどしかいない貴重なものだ
▼昔からウチナーンチュに親しまれた在来黒豚を復活させ、県産ブランドに押し上げたのは、名護の人々や県立北部農林高校の地道な努力のたまもの。市は昨年「アグーの里」を宣言、功績と誇りを刻んだ
▼同時にアグー像も設置されたが、最近、その勇ましい「裸体」が話題となった。国道58号に向けてお尻が丸見えで「不快だ」「ありのままでよい」と賛否両論。市が植栽でカバーし配慮した
▼小便小僧やダビデ像、感じ方は人それぞれ。「エロスか芸術か」の議論はいつの世もあるが、像への関心や見物人は増えた。さらにアグーを味わい、名護やんばるを楽しんでもらえば、ウワサの彼も報われるのでは。(儀間多美子)