社説

社説[塚田副大臣辞任]国会は「忖度」の解明を

2019年4月7日 05:00

 安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼財務相の地元の道路整備を巡り、「私が忖度(そんたく)した」と発言した塚田一郎国土交通副大臣が辞任した。

 道路事業を管轄する現職副大臣が便宜を図ったと受け止められかねない「忖度」発言である。辞任は当然だ。

 発言は1日夜、北九州市で開かれた福岡県知事選の自民党推薦候補の応援集会で飛び出した。麻生氏が推す候補で、塚田氏は麻生派である。

 塚田氏は、財政難などから2008年に凍結された「下関北九州道路」の要請で副大臣室を訪れた吉田博美・自民参院幹事長とのやりとりをこう紹介した。

 吉田氏が「塚田、分かっているな。これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ。俺が何で来たか分かるか」と言い、塚田氏は「私は物わかりがいい。分かりました」と応じたという。

 塚田氏は「そりゃ総理とか副総理はそんなこと言えません。私は忖度しました」と明言し、行政の私物化につながりかねないことを自慢げに語ったのである。

 塚田氏は発言が批判されると翌日、「忖度」発言について「事実と異なるため撤回し、謝罪する」と文書で公表。その後の国会でも「(発言)翌日の報道で内容を思い起こし、事実と異なるという認識に至った」と撤回した。

 だが「忖度」発言を否定すれば、選挙向けの集票のために有権者にうそをついて、利益誘導するようなものである。いずれにしても政治家としてあるまじき行為だ。

    ■    ■

 塚田氏の発言は「安倍1強」下で、首相への「忖度」がはびこっている可能性をうかがわせるものである。

 辞任会見で塚田氏は「大きな会合で雰囲気にのまれ、事実と異なる発言をしてしまった」と釈明したが、とても信じられない。むしろ、塚田氏の発言は実名を挙げており、具体的で生々しい。一般的には実際にあったと受け止める人が多いのではないか。

 吉田氏も塚田氏が紹介した自身の発言を否定しているが、副大臣室を訪れたのは昨年12月20日。その後19年度予算に国の直轄調査費が計上された。塚田氏は応援集会で「新年度の予算で国直轄の調査計画に引き上げました」とはっきり言っている。

 行政の公正性がゆがめられることがなかったのかどうか、国会は事実関係を解明する必要がある。塚田氏は詳細な説明をしていない。辞任したからといって説明責任が消えるわけではないのである。

    ■    ■

 森友、加計学園問題で「忖度」が疑われる中、現職国交副大臣が「忖度」を自身の手柄のように語ること自体、政権内で問題を軽く受け止めている証しであろう。

 安倍首相は当初、塚田氏をかばい続け、野党が要求していた罷免を拒否。続投させる考えを示していた。

 塚田氏を事実上更迭したのは統一地方選前半の投開票が7日に迫り、与党内からも批判が出たためである。

 長期政権のおごりと緩みが出ているというほかない。安倍首相の任命責任も厳しく問われなければならない。

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