前米国務長官のヒラリー・クリントンさんの根強い人気には驚かされる。2016年の米大統領選の民主党候補に、と今も断トツの存在感があるという

▼米国流は、長い時間をかけてイベントのように盛り上げながら候補者を絞り込んでいく。来沖したこともある県民になじみのジム・ウェッブ元上院議員も話題の一人だ

▼沖縄の知事選候補者選定が熱を帯びている。保守のサラブレッド翁長雄志那覇市長(63)に、市議会自民会派の新風会が出馬を要請したことが発端だ。先日は仲井真弘多知事(74)の後援会が、経済政策の実績を前面に3選出馬を促した

▼近年まれにみるほど耳目を集めるのは、天王山の知事選というにとどまらず、異例ずくめだからだ。自民が割れ、経済界は一枚岩ではない。選挙によっては独自候補を出す共産が、かつて対極にいた翁長氏を見据えている

▼自公対革新共闘の構図は早々に消え、本土並みに革新候補の姿は見えない。袂(たもと)を分かつのは、いわずもがな辺野古新基地建設の賛否だ。その上で、政府との太いパイプか、沖縄のアイデンティティーへのこだわりか

▼ダブル選の可能性が高い那覇市長選の候補者選びも控えている。枠組みが様変わりした選挙戦を、米国並みに注視し続けたい。岐路に立つ沖縄の将来を決定づけるのは、間違いないのだから。(与那嶺一枝)