政府は2019年4月9日、1万円、5千円、千円札の紙幣を刷新することを発表した。しかし、1枚、刷新されないお札がある。沖縄の守礼門が描かれた2千円札だ。なぜ、このタイミングで刷新されないのか。
■発行したものの、流通拡大しない2千円札
2千円札は沖縄サミット開催を記念して、今から19年前の2000年7月19日に発行された。
同日の沖縄タイムスの記事には
「42年ぶりの新札となる2千円券を発行した。国内で1億余枚が、県内では190万枚が発行された。日銀によると、本年度内に全国で10億枚を流通させる予定。5千円札の2倍の発行数」
とある。
しかしながら、財務省理財局によると、2019年現在の流通枚数は、1万円札が約99.7億枚、5千円札が約6.6億枚、千円札が約42億枚。それに対し、2千円札は約1億枚で、発行当時、目標としていた10億枚の10分の1にとどまっている。
流通しなかった理由について、同局の担当者は「はっきりとしたことについては調査されていませんが、発行当時、自動販売機で使うことができなかったからではないかとよく言われています」。
そしてこの流通の少なさが、刷新の対象にならなかった直接の原因だという。
「いま、日銀に備蓄が貯まっている状況です。他の紙幣は毎年作り続けているのに対して、2千円札は現在、新しく印刷していません。新しいデザインにすると、備蓄のお金が無駄になってしまうため、刷新は見送ることになりました」
■沖縄のATMでよく出る2千円札
日本銀行那覇支店によると、2千円札の発行は2000年以降、全国では増え続け、2004年8月には5億1300万枚とピークを迎える。その後、年々減少し、2014年以降は9800~9900万枚を推移している。
一方で、沖縄の発行高(ネット支払高累計)は、2002年以降はほぼ上昇。2019年3月には、全国の発行枚数の6.5%にあたる637万枚が流通している。
沖縄では、ローソンや琉球銀行のATMなどでお金を引き出す時、2千円札を選べる仕組みになっているため、流通が他県よりも多い要因にもなっている。
財務省理財局は「たくさん使ってほしい。2千円札の普及に向けてパンフレットも作成し、空港や銀行窓口などに置いている。外国の方にも興味を持ってもらいたい」とPRした。