小型無人機ドローンの飛行禁止区域を米軍基地などにも広げる規制法改正案が、衆院内閣委員会で与党などの賛成多数で可決された。

 政府は今国会での成立を目指すとしているが、国民の知る権利の侵害という懸念は払拭(ふっしょく)されていない。

 米軍基地が集中する沖縄では、日常生活の安全に関わる問題であり、拙速な立法化に反対する。

 首相官邸の屋上でドローンが見つかった事件を機に2016年に制定されたドローン規制法は、官邸や国会議事堂、原子力発電所など重要施設上空の飛行を禁じた。

 改正案は、その飛行禁止施設に自衛隊と在日米軍施設を加えるものだ。

 具体的な対象は防衛相が個別に指定。施設内および周辺300メートルが規制範囲。飛行に際しては、その都度、基地司令官など施設管理者の同意が必要となる。

 政府は「ドローンを使ったテロに備えるためだ」と説明する。危険を未然に防ぐことに異論はない。

 ただし、米軍基地や米軍の活動が県民の暮らしを脅かしている現実に、どう対応しようとしているのか。納得のいく説明は聞こえてこない。

 土砂投入が進む辺野古新基地のドローン撮影ができなくなれば、埋め立て承認時の留意事項が守られているかなどの監視は難しくなる。米軍機の事故現場では、取材活動が不当に制限されることになりかねない。基地からの油漏れなど、ただでさえ困難な米軍への取材はますます制約を受けることになる。

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 内閣委員会の質疑で、自衛隊では対象とならない訓練水域が、米軍の場合、対象となることも明らかになった。

 辺野古のキャンプ・シュワブ上を飛ぶドローン規制については、米太平洋軍司令官が防衛相に直談判した経緯があり、米側への配慮がにじむ法改正でもある。

 山本順三国家公安委員長は「取材活動を制限する意図は全くない。正当な理由があれば飛行を認める」と強調した。

 しかし、日本側に規制を要請した米軍がドローンでの撮影を認める可能性は低いと言わざるを得ない。

 辺野古沖の臨時制限区域で県がサンゴ調査を求めた際、米軍の許可が下りるまで半年かかったことを思い起こす。結果、サンゴ損傷の原因は分からずじまいだった。

 委員会を通過したとはいえ、疑問の解消は進んでいない。ここはいったん立ち止まって一つ一つの問題に向き合うべきだ。

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 そもそも改正案は、広大な基地が住民地域に接近している沖縄の実情をまったく無視している。

 飛行禁止区域が一挙に拡大すれば取材活動にとどまらず、農薬散布など影響は他分野に広がるだろう。

 米海兵隊が無人機やロボットなど最新兵器の実用実験をキャンプ・ハンセンで実施していたことが分かっている。

 私たちの大切な権利を制限する一方で、基地内では自由に無人機を飛ばすという理不尽がまかり通っているのだ。

 負担軽減に逆行している。