沖縄県北谷町のアパートで米兵の男性と日本人女性の遺体が見つかった事件。交際トラブルがあったとされる。交際相手などからの暴力(DV)に詳しい専門家からは、警察の対応に疑問の声も上がっている。 

遺体を載せたとみられる車両=4月13日午後2時ごろ

矢野恵美教授

 交際相手が在沖米海兵隊所属の海軍兵ということで、被害女性側が、日本の警察に相談しても、どこまで捜査が可能なのかと不安に思い、日本側には相談しなかった可能性は十分にある。プライベートに深く関わる事案であれば、何度も別の捜査機関に話すことへの心的負担もある。日本と米国の警察が捜査情報を共有できる体制があれば、結果が変わっていた可能性はあるかもしれない。 

 一般論として、加害者との関係が近いほど、犯罪被害を届けにくく思ってしまう傾向がある。他人からの被害ならすぐに届けるようなことであっても、友人、交際相手、家族となっていくと警察に届けることをためらってしまうケースは多い。警察は、関係者の関係性などを踏まえた上で、被害届や告訴がなされないことと、犯罪のリスクがないことはイコールではないということは意識してほしい。(琉球大学法科大学院、犯罪学・被害者学、談)

秋吉晴子さん

 DVが更にひどくなるのは、交際相手から別れようとする時と、妊娠や出産直後の身動きが取れない時と言われている。今回、女性は危険な状態にあった。

 暴力にさらされていても被害届を出さない被害者は多い。届けを出すことで、かえって相手を刺激してより危険な状態になることを避けたいからだ。今回、被害にあった女性には同居の子どももいた。子どもへの影響を心配して被害届を出さなかった可能性もある。

 相手が米兵だったことで、日本の警察署の対応に限界を感じていた可能性もある。さいたま市でも今年1月、交際相手からの暴力を警察に相談する一方で、被害届を出さなかった女性が殺害された事件が発生したばかりだ。

 警察署などはDVのメカニズムを知った上で対応する必要がある。DVの被害者が被害届を出さずとも、場合によっては強制的に介入することが必要だ。(しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表、談)