社説

社説[米兵による女性殺害]DVへの対応検証せよ

2019年4月16日 12:37

 北谷町桑江のアパートで、日本人女性(44)と在沖米海兵隊所属の海軍兵(32)が遺体で見つかった事件で、県警は海軍兵が女性を殺害した後、自殺をしたとみて殺人容疑で捜査を進めている。

 司法解剖で女性の首や手には刃物で複数回刺された痕や切り傷があることから、抵抗したとみられる。

 米軍憲兵隊(MP)から沖縄署に「(亡くなった)2人に関係する交際トラブルがある」との通報があったのは今年1月下旬である。

 警察は女性をDVなどから保護する人身・安全関連事案の対象者とし、直接会ってトラブルの内容を確認した。

 女性は元交際相手である海軍兵から「別れる、別れないの中でわいせつな行為をされた」と説明したという。

 警察はその時点で海軍兵から事情聴取すべきだったのではないか。それなしに「犯罪性なし」と判断するのは捜査の鉄則に反する。

 警察は定期的に女性と連絡を取り、何かあれば110番通報をするよう指導。被害届を出すよう促したが「憲兵隊に対応してもらっている」と応じなかったという。

 警察は連携を強めるため自治体など関係機関と情報共有をしたのだろうか。

 その後、憲兵隊からは情報提供はなかったという。憲兵隊は実際に海軍兵を取り調べたのだろうか。

 事件の全容解明はこれからだが、憲兵隊と警察の情報共有が適切になされていたのかどうか疑問が残る。今後、どう情報を共有するのかを含め、検証する必要がある。

    ■    ■

 内閣府の2017年度調査では、交際相手から暴力を受けた経験のある女性は21・4%に上る。周囲に相談したのは61・8%だった一方、警察を選んだのは2・4%にすぎない。仕返しを恐れたり、自分の被害を過小評価したりした結果とみられる。警察もその認識を持つことが重要だ。

 警察は「対応に問題はなかった」との立場だが、ほんとうにそうだろうか。「顔や身体にあざやけががあればすぐに保護措置をとったかもしれない」という。女性からもっと丁寧に事情を聴く努力を重ねるべきだったのではなかったかと悔やまれてならない。

 昨年10月に海軍兵が女性のアパートで器物損壊事件を起こしたことや、人身・安全関連事案の対象者としていたことを考えれば、緊急度を上げて、踏み込んだ対策を取るべきではなかったのか。

    ■    ■

 米軍が米兵の勤務外の行動指針「リバティー制度」を緩和した直後の事件であることを県は問題視している。海軍兵は犯行前日の12日夜から女性と一緒にいたことがわかっている。なぜ夜から未明にかけて基地外に出ることができたのか。米軍は事実関係を明らかにしてもらいたい。

 現場に女性の娘がいたことも心配だ。娘が女性の親族に電話し、親族から110番通報があったという。

 娘は大きなショックを受けており、話せる状況ではないという。学校、児童相談所、自治体、医療機関などは連携して精神的ケアに全力を挙げてもらいたい。

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