4月も中旬。新入社員が研修を終え、職場に配属される時期だ。最近、県内メーカーで興味深い話を聞いた

▼「新入社員が会社の電話を取らない」。よくある話と思ったら、様子が違う。「取らないというか『取ってはいけない』と思っているんです」。どういうことだろうか

▼説明はこうだ。スマホが普及し、家庭で固定電話を使う頻度が減った。自宅で鳴る電話の大半は企業の営業。詐欺の恐れもある。保護者は「ディスプレー表示で登録されていない電話は取らないように」と教える。そう聞かされてきた世代は、会社の電話も取ってはいけないと思っている

▼半信半疑で別の企業に行き、この話をすると「ウチでも『ええっ、固定電話って取っていいんですか』と驚かれました。世代間ギャップですね」。営業マンは苦笑した

▼当の若手たちに悪気はない。「キミは、なぜ電話を取らないのか!」と叱ったら混乱し、萎縮するだろう。「オフィスの電話は取っていいんだよ」と伝えるところから、ギャップを埋めるコミュニケーションが始まる

▼電話は新入社員の先生だ。先輩への取り次ぎで、社員の顔と名前を覚える。意味不明な頼まれごとに冷や汗交じりで対応するたび、新しい仕事を学ぶ。電話におびえず笑顔で対応できるようになれば、一人前の社員まですぐそこだ。(吉田央)