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米軍と自衛隊の特別扱い目立つドローン規制法改正案 軍事の聖域化進む恐れ

2019年4月21日 06:00
阿部 岳
阿部 岳(あべ たかし)
沖縄タイムス社北部報道部長

1974年東京都生まれ。上智大学外国語学部卒。97年沖縄タイムス社入社、政経部県政担当、社会部基地担当、フリーキャップなどを経て現職。著書「観光再生―テロからの出発」(沖縄タイムス社)。

 衆院を通過したドローン規制法改正案は、米軍と自衛隊の特別扱いが目立つ。現行法では国や地方自治体なら首相官邸や原発の上空も同意なく飛ばせるのに対して、改正案で対象に加わる基地の上空だけは禁止。さらに自衛官に基地外での排除措置を認めており、軍事の「聖域化」が進む恐れがある。(編集委員・阿部岳)

埋め立て作業が進む名護市の辺野古沿岸部。完成時期や予算は明らかになっていない=12日(小型無人機から)

 改正案を審議した12日の衆院内閣委員会で、塩川鉄也氏(共産)が追及した。「沖縄で台風の被害が大きい時など、現行では(米軍の)了解がなくても飛べたのにわざわざ外し、自治体の被害調査も排除する仕組みになっている」。防衛省は「緊急時の同意に迅速に対応できるよう関係機関と連携する」などと答えた。

疑問残る手続き

 改正案は米軍と自衛隊の基地上空での飛行について、司令官の同意を得ることを義務付けている。災害時の自治体も例外ではなく、事前に文書で同意を得て、さらに警察などに通報しなければならない。どこまで手続きを迅速化できるのか、疑問が残る。

 現行法では、自治体なら首相官邸、防衛省本省の上でさえ同意なく飛ばせるのに、なぜ基地だけ対応が違うのか。内閣官房の担当部署は「基地上空は航空機やドローンが飛び、接触の可能性がある」と説明するが、防衛省は滑走路やヘリパッドがない施設も広く指定する考え。「過保護」になる可能性をはらむ。

 さらに、米軍や自衛隊自身が基地上空で飛ばすドローンには、「突発的な訓練があり得る」として、警察などへの通報を不要にする仕組みを用意していて、厚遇ぶりが際立つ。


飛行妨害可能に

 同意も通報もなく基地上空などを飛ぶ違法ドローンの操縦者に対して、警察官や海上保安官は機体の移動を命じることができる。命令に従わない時、操縦者が見つからない時は、飛行妨害や破壊も許される。警察は電波妨害装置やネット発射装置、迎撃用ドローンを装備する。

 改正案はこうした現行法の取り締まり権限を自衛官にも与える。自衛隊基地の周辺で、警官や保安官がその場にいない場合、という限定はあるが、操縦者が遠くにいれば理論上は追い掛けていけることになる。

 自衛隊で取り締まりに当たるのは外国軍の憲兵に相当する警務官や、ゲートを警備する警衛隊などが想定される。旧日本軍の憲兵は一般住民を思想弾圧したり殺害したりした歴史もあり、自衛隊の警務官による捜査対象はこれまで隊内の事件に限定されてきた。

 捜査とは異なるものの、基地外で一般住民を取り締まったり、所有するドローンを破壊したりすることになれば、自衛隊にとって大きな権限の拡大になる。

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