沖縄県宮古島の東海岸5カ所に廃油ボールが漂着した問題で、宮古島市は19日、県を通じて自衛隊に災害派遣を要請し、3月に新設された陸自の宮古警備隊などの隊員ら約155人が回収作業に当たった。

廃油ボールを回収する自衛隊の隊員=19日、宮古島市・新城海岸

◆市の人員や機材では対応が困難

 自衛隊の災害派遣は大規模な地震や豪雨、山林火災などへの対応が主で、識者や自衛隊配備に反対する市民団体からは「新設部隊を受け入れてもらうためのアピールに利用しているのではないか」と疑問の声が上がっている。

 下地敏彦市長は同日の会見で、市には十分な人員や必要な資機材がないほか、満潮になると廃油ボールが沖合に流れて広範囲に拡散する恐れがあるとし、「干潮時で対応するため、早期に要請が必要だった」と説明した。

 県は市の要望を受けて自衛隊に派遣を要請した。緊急性や自衛隊以外の対応が難しいなどの要件を満たしていると判断した。

 廃油ボールが漂着したのは吉野海岸、新城海岸、浦底海岸、高野漁港北側、保良漁港北側海岸の5カ所。陸自の宮古警備隊のほか、空自の宮古島分屯基地の隊員が派遣された。

 新城海岸では、同日午前11時半ごろから、県の職員約30人が作業を開始。正午ごろから隊員約50人が加わり、廃油ボールを回収した。

 自衛隊配備に反対する「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子事務局長は「廃油ボールは市が主体的に回収すべきであり、自衛隊に頼むのは筋違いではないか」と疑問視。隊員の回収自体は非難できないとした上で「今回の派遣は、市民に受け入れさせるための宣撫(せんぶ)工作のように見える」と述べた。

◆全国でも聞いたことがない

 前田哲男さん(軍事評論家)の話 廃油ボールの漂着自体は珍しいことではなく、何十年も前からある。その回収に自衛隊が派遣されたというのは、全国でも聞いたことがない。

 もちろん、自衛隊法を根拠に自衛隊が回収活動に当たったのは、環境保全の観点から見れば悪いことではない。一方、陸上自衛隊宮古島駐屯地には宮古警備隊が新設されたばかりだ。それを踏まえれば、自衛隊の活動を対外的にアピールする狙いは当然あっただろう。