大弦小弦

[大弦小弦]69歳から49歳へ…

2019年4月22日 07:44

 69歳から49歳へ、公的に20歳若返ることを求めて裁判を起こした男性がオランダにいる。医師も「体年齢」は45歳だと言ってくれるのに、仕事や恋愛で実年齢を言うと差別される、と主張した

結果は敗訴。裁判所は「生年月日の修正を認めると誕生、死亡、結婚など、20年分の記録が消失する。法的、社会的に多くの問題が出る」と認めなかった

普通はそうだと思う。しかし、沖縄は普通ではなかった。戦争で本島住民の戸籍がほぼ丸ごと焼失した。戦後、一から戸籍を作り直す時も照合すべき資料がなく、生年月日は住民の申告通りに認められた

▼名護市の外間政吉さん(85)の誕生日は戸籍上、10月10日。実際は5月生まれらしい。戦後、学校に通うため生年月日が必要になったが、母は子だくさんで記憶があいまいだった

▼そこで、10・10空襲の日を届けた。母も同じ誕生日にした。本部町の市街地が炎上する様子を山中の実家から目撃し、脳裏に刻んでいた。外間さんは「空襲は沖縄戦の始まり。生涯忘れない日になった」と話す

▼沖縄戦は多数の人命を奪い、自然を破壊した。それだけではなく、人々が生きた記録を燃やし、歴史を奪った。この世に存在したことも戦没したことも、公的に証明できない人がたくさん出た。74年前の今ごろ、中部や伊江島が戦火に包まれていた。(阿部岳)

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