沖縄県内最大の蔵書数、売り場面積を持つジュンク堂書店那覇店(森本浩平店長)は4月24日、県内出店10年を迎えた。「県産本」や「沖縄本」に関するイベントや講演会を定期的に開催するなど独自の取り組みで、県内出版界の活性化に一役買ってきた。出版編集者は「書店として県内で初めて本に関するイベントを多く開き、間口を広げてきた」と評価する。発信力を生かし、県内出版社とともに出版不振の払拭(ふっしょく)を狙う。(政経部・川野百合子)

開店時から延べ8年間、那覇店の店長を務める森本浩平店長。県産本を含む沖縄関連本を多く取りそろえる=ジュンク堂書店那覇店

開店日、レジ前には本を買い求める長蛇の列ができた=2009年4月24日、ジュンク堂書店那覇店

開店時から延べ8年間、那覇店の店長を務める森本浩平店長。県産本を含む沖縄関連本を多く取りそろえる=ジュンク堂書店那覇店
開店日、レジ前には本を買い求める長蛇の列ができた=2009年4月24日、ジュンク堂書店那覇店

■地元本の人気が顕著

 同店は、地下1階から地上3階までの売り場約6600平方メートルで、約103万冊の書籍類を扱う。うち県内の出版社が刊行した「県産本」と沖縄に関連する「沖縄本」は約2万冊。週間で発表するベストセラーの約半分は、沖縄関連本が占める。

 開店以来、那覇店の売り上げはジュンク堂全店舗52店の上位5〜6位をキープする。開店時からのべ8年同店の店長を務める森本さんは「地元本の人気が顕著なのは、全国的に見ても沖縄だけ」と話す。

 歴史や文化、気候が本土と異なることが背景にあるとみる。人気は琉球王国の歴史や基地問題に関する書籍、ガーデニングや年中行事、冠婚葬祭に関する本など。小説などの文芸の売り上げが全体の3%未満と低い一方、哲学や歴史、心理学などの人文分野が約8%と高くなっているのも沖縄の特徴だという。

■生活を豊かにするヒント

 同店の中学や高校の学習参考書の販売額は、ジュンク堂グループの中で全国3位に入る。森本さんは「売れる本は県内のニュースや社会情勢とリンクしている。学力が低いという報道や政治情勢などで県民の危機感や本当の意見を感じることができる」と話す。

 県産本の人気は、個人経営を含めて約100社あるという県内出版社の多さも背景にある。

 森本さんは「本は悩みの解決策や趣味を見つけるなど、生活を豊かにするヒントがある。県民生活に欠かせない存在となれるよう、県産本も含めて、品ぞろえにこだわっていきたい」と語った。

イベントを開き幅広く発信

■ボーダーインク編集者 新城和博さん

 ジュンク堂の進出は、文教図書が倒産し「リブロ」が沖縄へ出店した後だった。当時すでに宮脇書店やブックボックスなどの大型書店もあった。だが、ジュンク堂は郊外型でもなく、ショッピングモールにも入店せず、街のど真ん中に出店。地理的な要因で、新刊が届くのにも、1週間遅れが当たり前の県内で、こんな大きな書店でやっていけるのか、と興味があった。

 池袋店などを参考に、県産本と沖縄本のコーナーを面積的にも大きく確保した。街角の書店ではできない規模で、県外の沖縄本と県産本を一緒に紹介することで、より多様な沖縄本が増えたのではないかと思う。

 一番の特徴は、本を媒体としてイベントを多く開き発信する「本のイベント化」を実践してきたことだと思う。商店街と共に、落語や古本市なども開いた。売り上げももちろんだが、著者によるトークイベントなどで、本に関わる人の間口を広げた。当時はインターネットで本を買うのが当たり前になっていたが、手で触れて見られる本の良さを再認識させた。(談)